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個人向け国債とは
資産所得倍増プランや2024年から新しい制度となるNISAも話題になり、資産運用を始めてみたいけど元本が変動するリスクが心配という方もいるのではないでしょうか。個人向け国債は、国が元本と利息の支払いを約束している個人向けの国債です。一般の国債は、中途換金すると金利上昇時に元本割れするリスクがありますが、個人向け国債は中途換金時も国が元本を保証するため、元本確保型の金融商品です。
個人向け国債とは
個人向け国債は、個人を対象とした債券です。債券とは、国や企業などが資金を調達するために発行する借用証書の一種です。債券を購入するということは、一定期間お金を貸すことになるため、定期的に利子が支払われ、満期になると元本が返済されるしくみになっています。国が発行する債券のことを「国債」といい、国債を個人の方が購入しやすいようにしたものが「個人向け国債」です。
個人向け国債の特徴
個人向け国債は、銀行、証券会社などの金融機関で1万円から購入することができ、利子の支払いや元本の返済は国が保証しています。利子の支払いは半年毎で、年率0.05%の最低保証があります。予定外にお金が必要になった時などには、発行してから1年経過後であれば1万円単位で中途換金が可能で、通常の債券と異なり経済環境等により実勢金利が変動しても元本部分の価格は変動しないため、中途換金により元本割れすることはありません。ただし、直前2回分の受け取った利子相当額が差し引かれます。
個人向け国債の種類
個人向け国債には、「固定3年」「固定5年」「変動10年」の3種類があります。金利のタイプや満期までの期間が異なり、適用利率は発行される時期によってそれぞれの条件が決まります。固定3年と固定5年は、満期までの期間がそれぞれ3年・5年で、固定金利で満期まで適用利率が変わらないため、発行した時に投資結果を知ることができます。変動10年は、満期までの期間が10年で、半年ごとに適用される利率が見直される変動金利のため、金利が上昇すれば受け取れる利子が増えることもあります。
(参考)利率の算式と適用利率(税引き前)令和5年4月募集5月発行の条件
いずれも長らく下限金利の0.05%が続いていましたが、最近の長期金利上昇の影響から、適用利率も上昇傾向にあり、特に変動10年が注目されているようです。個人向け国債は、多くの金融機関で取り扱いがあります。実際に利用する際には、身近な金融機関で商品の内容や留意点、購入方法などを確認し利用するようにしましょう。
森 朱美
ファイナンシャルプランナー(CFP®)
株式会社マネースマート