文化講座
積立投資に活用できる投資信託のしくみ
新年度になり、進学や就職、転勤など生活に変化があったという方も多いでしょう。そのような変化は生活設計を見直すきっかけにもなります。将来の生活設計を立てたら、必要資金の準備のために「積立」を始めてみましょう。元本保証のある貯蓄商品での資金準備では、定期預金の自動積立制度などを活用することになりますが、現在の低金利では資金を増やすことは期待できそうにありません。少しでも増やすことを期待する場合は投資の商品を活用することも検討してみましょう。そのような場合、少額から投資ができ積立投資に活用できるのが「投資信託」です。投資信託はこのコラムにも度々登場するiDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAでも活用できる金融商品です。iDeCoやつみたてNISAは税金の優遇がある制度であることはわかっても、その制度で積立てる投資信託がどのような商品なのかわからないという方も多いかもしれません。今回は投資信託のしくみや特徴を確認してみましょう。
●投資信託のしくみ
投資信託はその漢字が表すとおり、「投資を信じて託す」金融商品です。多くの方から集めた資金を運用の専門の会社(委託者)に託します。託された運用会社がどのような株や債券に投資するかを判断し運用指図をします。投資された資産の管理は信託銀行(受託者)が行います。投資した株や債券の値動きによって日々価格変動があり、投資した資金は増えたり減ったりするため元本保証はありません。
- 少額から分散投資が可能
一般的に1万口1万円程度から購入が可能(購入時の基準価額による)
自分だけでなくその商品に投資した他の方の資産もまとめて多くの株や債券に投資をするため、自分の資金は少額でもさまざまな銘柄や資産などに分散投資が可能 - どんな銘柄に投資するかは運用の専門家にお任せ
一つの商品に集められた資金で投資する株や債券の銘柄は運用の専門家が選ぶため、自分自身で個別銘柄の情報収集や投資判断をする必要はない - さまざまな種類の商品がある
投資対象や運用スタイルなどが異なるさまざまな種類の商品があるため、どのような資産にどんな運用スタイルで投資してほしいかを自分で考えて、その考え方にあった運用をしている商品を選ぶことができる
投資信託を選ぶ際にまず確認したいのは何に投資しているかです。投資信託では、商品毎に「こんな資産に投資します」ということが決められていますので、希望の資産に投資する商品を選択しましょう。投資信託で投資する主な資産には以下のようなものがあります。
国内の債券 外国の債券 国内の株式 外国の株式 不動産
一般的に債券より株式に投資する商品のほうがハイリスクハイリターンになります。また、上記の投資資産などのうちから複数に分散投資している「バランス型」という商品もあります。バランス型の商品はそれぞれの資産がどんな割合で組み合わされているのかによってリスク・リターンの傾向などが変わってきます。
投資信託を選ぶ際は、まずはそれぞれの資産の特徴を理解して、どんな資産に投資をしたいのか考えてみましょう。
投資信託を選ぶ際にはコストを確認することも重要です。投資信託で運用する際のコストには 1.販売手数料 2.信託報酬 3.信託財産留保額 の三つがあります。この中で特に確認したいのは2.信託報酬です。これは運用の手数料としてその商品で運用している資産(信託財産)に運用期間中ずっとかかるものなので、運用の結果にも影響してきます。同じ投資対象で同じ運用スタイルであれば低いほうを選びたいものです。ちなみに「つみたてNISA」で積立ができる投資信託はこの信託報酬が国内の資産でインデックス運用であれば0.5%以下(税別)など一定以下のものと制限されています。
石川 友紀
ファイナンシャルプランナー(CFP®)
株式会社家計の総合相談センター