文化講座
人生のお金の貯め時
「お金がなかなか貯まらない...」と悩む方も多いのではないでしょうか。一般的には、手取り収入の20%(収入が多い方は30%)程を、貯蓄にまわすのが理想的と言われています。
◆貯蓄率の平均は?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」によると、年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合は、平均11%です。
一方で、年代別で貯蓄率の分布をみると、
20代は、20%~25%(1位)、35%以上(2位)、
30代は、10%~15%(1位)、20%~25%(2位)、
40代から70代は、10%~15%(1位)、5%~10%(2位)。
年代別に貯蓄率には差があることがわかります。
例えば、節約して支出を見直し、貯蓄率を上げることも大切ですが、長い人生には、どうしても支出がかさみお金が貯めにくい「お金のかかる時」もあります。
自分の人生の「お金の貯め時」をとらえて、着実に貯めることを心がけましょう。
◆人生のお金の貯め時は3回
最初(1回目)は、就職してから結婚するまでの独身期間。
そして、結婚して子供が生まれるまでの期間です。
若いうちは収入も少なめです。しかし、支出も自身のお金に限定されるため、人生の中では少ない時期です。特に、実家暮らしの方は、住居費・食費・水道光熱費などの負担も少ないはず。また、結婚して支出が増えたとしても、共働きの場合はダブルインカムになり豊かです。お金を貯める習慣を築きましょう。
次の貯め時(2回目)は、子供が小学生の時期まで。(公立の場合は、中学まで。)
子供が生まれても、小学生の時期までは教育費の負担も少なめです。また小学生にあがると、パートナーが復職できる場合も多く、着実に貯めておきたい時期になります。
一方で、産休・育休・時短勤務などで仕事をセーブする場合も多く、収入が減り貯めにくいご家庭もふえます。その場合は、お金の貯め時ではないと自覚し、無理しないことも大切です。
最後の貯め時(3回目)は、子供が大学を卒業して独立してから自分が退職するまで。
子供の教育費の負担がなくなるため、人生の貯め時のラストタイミングです。ご自身の老後資金を、退職するまでしっかりと貯めたいものです。
◆着実にお金を貯めるために
貯め時に、確実に貯蓄をするためには、自然にお金が貯まる「先取り貯蓄」の仕組みを作ることが大切です。先取り貯蓄とは、「収入が入ったと同時に貯蓄をして、残ったお金で生活をやりくりする」方法です。
お金が貯まらない方の多くは、収入が入ったら先に使い、残ったお金を貯める「後から貯蓄」をしています。先に使うとお金は残りません。人間の意思は弱いことも、知っておきましょう。
一般的に、理想と言われる貯蓄率(手取り収入の20%程)や、平均貯蓄率などの統計に固執せずに、ご自身の人生の「お金の貯め時」を意識して、着実にお金を貯めていくスタンスで、資金計画を見直してみて下さい。
堀之内 千津
ファイナンシャルプランナー(CFP®)