文化講座
不定詞 ~誰がする?
皆さん、こんにちは!2020年3月号です。
今年は暖冬で、春が早くやって来そうだと喜んでいたら、中国で発生した新型のウイルスが世界を恐怖に陥れています。コロナウイルス(英語ではcoronavirus)と呼ばれ、肺炎を引き起こすこの恐ろしいウイルスは感染力が強く、主に飛沫や接触によって感染するということです。「感染症」はinfection、「伝染性の、感染しやすい」はinfectious、ですから、
Coronavirus is highly infectious.(コロナウイルスは感染力が非常に強い)
The death toll topped 1600 in China.(中国では、死者が1600人を超えた)
人混みに出かけるのは、避けた方が良いようですね。
さて、今月取り上げるのは、不定詞の意味上の主語です。
不定詞、覚えていますか。バックナンバーの「不定詞」を見直してください(第5回「不定詞」参照)。
不定詞は、動詞の意味は持っているけれど、働きは動詞ではなく名詞や形容詞、副詞に変えてしまう便利なものです。
<形> to+V原形
<働き> 名詞の働き (主語、目的語、補語として働く)
形容詞の働き (名詞を修飾する)
副詞の働き (動詞や形容詞、副詞を修飾する)
では、不定詞が表す動作をするのは誰か(意味上の主語)考えてみましょう。
次の例文①②を見てください。
①I want to go to Tokyo.
私は東京へ行きたい |
不定詞to go
東京へ行くのは ⇒ I (私) |
②He went to New York to study English.
彼は英語を勉強するためにニューヨークへ行った |
不定詞 to study
英語を勉強するのは ⇒ he(彼) |
①では、不定詞(to go)の動作をするのは文の主語と同じ[私](I)、
②では、不定詞(to study)の動作をするのは文の主語と同じ[彼](he)
つまり、
文の主語が不定詞の動作をする(文の主語と不定詞の意味上の主語が同じ)場合は、不定詞の意味上の主語を表わす必要がありません。
次の例文③④を見てください。
③I want him to go to Tokyo.
私は、彼に東京へ行って欲しい |
不定詞to go
東京へ行くのは ⇒ him(彼) |
④We believe the story to be true.
私達は、その話が本当だと信じている |
不定詞to be
本当であるのは ⇒ the story(その話) |
③では、不定詞(to go)の動作をするのは文の動詞の目的語と同じ[彼](him)、
④では、不定詞(to be)の意味上の主語は文の動詞の目的語と同じ[その話](the story)
つまり、
文の動詞の目的語が、不定詞の動作をする(文の動詞の目的語と不定詞の意味上の主語が同じ)場合は、不定詞の意味上の主語を表わす必要がありません。
では、次の例文⑤を見てください。
⑤It is necessary to answer the question.
その質問に答える必要がある |
不定詞to answer
質問に答えるのは ⇒ ?(わからない) |
⑤では、不定詞(to answer)の動作をするのは誰か不明。
ここで、意味上の主語を表わす必要がある場合、不定詞の直前に「for+意味上の主語」を置き「for+意味上の主語+不定詞」とします。
つまり、例文⑥のようになります。
⑥It is necessary for them to answer the question.
彼らは、その質問に答える必要がある |
不定詞to answer
質問に答えるのは ⇒ them(彼ら) |
「It is+形容詞+for+不定詞の意味上の主語+to+V原形.」のパターンを覚えておくと便利ですね。
※注意
このパターンの中の形容詞が人の性格や物事の判断を表わす語句(kind / nice / foolish / right / wrongなど)の時は「It is+形容詞+of+不定詞の意味上の主語+to+V原形.」とします。
このパターンの例文をいくつか挙げておきます。
It is very kind of you to cook me lunch. |
あなたが私に昼食を作って下さるとは親切ですね。
⇒ご親切に昼食を作って下さり感謝します。 |
It is easy for travelers to get lost in Kyoto. |
京都で旅行者が道に迷うのは簡単だ。
⇒京都は旅行者がすぐに道に迷ってしまう。 |
It is impossible for me to carry this stone. | 私がこの石を運ぶのは不可能だ。 |
英作してみましょう。
- ①来週月曜日にロンドンへ出発したいと思います。
- ②医者は私に、毎日散歩するように勧めてくれた。
- ③やさしい英語で書かれた本を読むのは、私には難しくない。
- ①I would like to leave for London next Monday.
- ②The doctor advised me to go for a walk every day.
- ③It isn't difficult for me to read books written in easy English.
いかがでしたか。ではまた4月号で!