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やさしい英文法講座

中日文化センター講師 日本福祉大学講師
中村 一子

I could make better lunch.

皆さん、こんにちは!8月号です。
遅ればせながら、日本でも新型コロナウイルスワクチンの接種が進んできたようですが、オリンピックの開催とともに新型コロナウイルス感染も拡大しています。感染爆発を防ぐことはできるのでしょうか。
オリンピック競技観戦は楽しいけれど、コロナウイルス感染拡大のリスクは大きい。いわば、「諸刃の剣」。英語で、「諸刃の剣」はdouble-edged swordと言います。
The Olympic Games could be a double-edged sword for us.
(オリンピックは私達にとって「諸刃の剣」となる可能性がある)
ここで用いられるcould はcan の過去形ですが、過去を表すものではなく「可能性」を表します。
 今月は、仮定法由来の助動詞過去形couldを取り上げます。
時制の一致で、can からcouldに変化する用法は、以前取り上げました。ここでは、その他の主な用法を紹介します。

①能力 I could make better lunch.
ならもっと美味しい昼食を作れる。
②可能性 You could visit Kinkakuji Temple today.
今日、金閣寺を訪れることできる。
③丁寧な依頼 Could I have a blanket, please?
よろしければ、毛布を頂けますか。

どれも過去形のcouldを用いていますが、過去の意味は持っていません。canと入れ替えても、ほぼ同じ意味を表します。では、なぜ過去形couldを用いるのでしょうか。
簡単に言えば、このcouldは仮定法からきたもので、「もし~なら」や「ひょっとしたら」「もしよろしければ」などの意味を含んでいるのです。if~節が省略されていると考えられます。
 仮定法のパターンを覚えていますか。主なパターンは次の二つです。
If S' + V'過去形 ~ , S + could(would / mightなど) + V原形 ~.
(もしS'がV'なら、SはVできるだろう)
If S' + had + 過去分詞 ~ , S + could(would / mightなど) + have + 過去分詞 ~.
(もしS'がV'だったなら、SはVできただろう)
現在のことを述べているのに、過去形の助動詞を含む文は、仮定法のIf節が省略され、帰結節(残りの部分)だけを取り上げたものと考えられます。
 では、初めに挙げた①~③の例文で、canを用いた文との違いを見てみましょう。

I could make better lunch.
ならもっと美味しい昼食を作れる。
I can make better lunch.
私はもっと美味しい昼食を作れる。
You could visit Kinkakuji Temple today.
今日、金閣寺を訪れることできる。
You can visit Kinkakuji Temple today.
今日、金閣寺を訪れることができる。
Could I have a receipt, please?
よろしければ、領収書を頂けますか。
Can I have a receipt, please?
領収書をください。

 では、もう一つ。「能力」や「可能性」など現在のことを、過去形couldで表現するなら、過去の「能力」や「可能性」はどのように表現するのでしょう。
それは、「could + have + 過去分詞」で表します。つまり、couldの後を完了形にすれば良いのです。例を挙げましょう。

I could make better lunch.
ならもっと美味しい昼食を作れる。
I could have made better lunch.
ならもっと美味しい昼食を作れ
You could visit Kinkakuji Temple today.
今日、金閣寺を訪れることできる。
You could have visited Kinkakuji Temple today.
今日、金閣寺を訪れることでき

いかがですか。過去形couldを使って微妙なニュアンスの違いを表現できますね。


 英文を作ってみましょう。
①彼なら入試を突破できる。
②ひょっとしたら、感染拡大が起きる可能性もある。
③私が名古屋を案内しても良いよ。

<解答>

①He could pass the entrance exam.
②There could be an explosive spread of the infection.
③I could show you around Nagoya.

では、また来月!

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