文化講座
完了形になった動名詞
皆さん、こんにちは! 11月号です。
今年は、台風シーズン終盤の10月中旬になって、超大型の台風が日本列島を襲いました。天気図を見ると、たった一つの台風がひきつれた雨雲が、日本列島のほぼ全体を覆うほど大型でした。そして、前代未聞の降雨量で各地の川を氾濫させました。
Most of the precipitation fell into the rivers and caused floods.(降雨の大半は川に注ぎ、洪水を引き起こしました。)precipitationは降水量または降水で、天気予報にはよく登場する単語です。覚えておきましょう。
さて、今月は完了形を含む表現の第3弾で、「完了形の動名詞 having +過去分詞」を取り上げます。
動名詞は、「動詞の意味を持ち、名詞の働きをする」準動詞です。以前、動名詞(単純形)を取り上げていますので、忘れてしまった方は見直してください(第6回「動名詞」参照)。
動名詞の単純形は、V原形+ing、現在分詞と同じ形です。主な用法は名詞とほぼ同じく、文中で主語、目的語、補語の働きをする事ができます。
では、完了形の動名詞を見てみましょう。
形はhaving +過去分詞。
完了形の動名詞は、機能的には単純形動名詞とほぼ同じですが、大きな違いが一つあります。
比べてみましょう。
単純形動名詞 V原形+ing |
述語動詞と同じ「時」、または、それ以後の「時」を示す。 I'm proud of studying at this university. この大学で学ぶことを誇りに思う。 |
完了形の動名詞 having +過去分詞 |
述語動詞より前の「時」、「すでに起きてしまった事」を示す。 I'm proud of having studied at this university. この大学で学んだことを誇りに思う。 |
つまり、単純動名詞と完了形の動名詞の大きな違いは、その表わす「時」です。
では、例を挙げながら説明しましょう。
V原形+ing | having +過去分詞 |
Winning the game is very important. この試合に勝つことが大切です。 |
Having won the game is a good memory. その試合に勝ったことは良い思い出です。 |
述語動詞はis(時制は現在)なので、「試合に勝つ」の時制はそれより前の過去。したがって、「勝ったこと」になる。 | |
He insisted on paying for it. 彼はその支払いをすると言い張った。 |
He insisted on having paid for it. 彼はその支払いをしたと言い張った。 |
述語動詞はinsisted(時制は過去)なので、「支払いをする」はそれ以前のことで「支払いをした」となる。 | |
My hobby is playing the guitar. 私の趣味はギターを弾くことです。 |
My best memory is having played the guitar with him. 一番の思い出は彼と一緒にギターを弾いたことです。 |
述語動詞はis(時制は現在)なので、「ギターを弾く」の時制は過去。したがって、「ギターを弾いた」となる。 |
では、英文を作ってみましょう。
- ①彼女は、その日そこへ行ったことを否定した。
- ②彼は、その車を盗んだことを認めた。
- ③学生達は、その大会で優勝したことを誇りに思っている。
<解答例>
- ①She denied having gone there that day.
- ②He admitted having stolen the car.
- ③The students are proud of having won the championship in the competition.
完了形の動名詞、理解できましたか。たくさんの例文に当たって慣れてください。
では、また来月号でお会いしましょう!