文化講座
動詞を正しく使いこなす
こんにちは!11月号です。
長くて暑い夏が終わりかけたと思ったら、一気に秋、ですね。子供の頃、夕方になると月見草が開きはじめ、コオロギがあちこちで鳴く原っぱで「もう家に帰らなくちゃ!」と思って駆け出したのを思い出します。昼間はしぼんでいた黄色い花が、夕方、月が出るころになると開き始める月見草は、それにふさわしい可愛い名です。月見草は英語でevening primrose。英語でもevening(夕方)にひらくprimrose(桜草)という可愛い名がついているのです。
さて今月は動詞をとりあげます。自動詞と他動詞の違いと使い方をマスターしましょう。
自動詞と他動詞の違いを簡単に表現すると、「目的語をとることができるのが他動詞」、「とらないのが自動詞」です。
例を挙げましょう。lie とlay です。
① lie 自動詞 |
横になる、横たわる | I'll lie on the sofa. 私、ソファーで横になるわ。 |
② lay 他動詞 |
~を横たえる ~を横にする |
I'll lay a baby on the sofa. 私が赤ん坊をソファーで寝かせるわ。(横にするわ) |
①lieは「横になる」で「~を」にあたる目的語をとることができません。したがって、lie は自動詞。
②layは「横にする」で「赤ん坊を横にする」、つまり、「赤ん坊」という目的語をとることができます。したがって、layは他動詞です。
では、少しわかりにくい例を挙げます。
① wait 自動詞 |
待つ | Let's wait for him here. ここで彼を待ちましょう。 |
② marry 他動詞 |
~と結婚する | Will you marry me? 私と結婚してくださいませんか。 |
①waitは、日本語の感覚で考えると「彼を」という目的語をとりそうに見えますが、実は自動詞で目的語をとることができません。したがって、前置詞forを伴ってはじめて目的語himを置くことができます。つまり、
(×)wait him
(○)wait for him
②marryは、日本語の感覚で考えると「私と結婚する=marry with me 」としたいところですが、実は他動詞で目的語をとります。したがって、前置詞withは不要です。つまり、
(×)marry with me
(○)marry me
となります。
それぞれの動詞が、他動詞か自動詞かは覚えるしかありません。しかし、辞書をひいた時皆さんお気付きのように、1つの動詞に様々な意味があります。多くの動詞は他動詞と自動詞両方の意味を持ちます。
次に挙げるのは、自動詞にも他動詞にも用いられる動詞の例です。
stop | (他動詞)~を止める、~をやめる | He stopped talking. 彼は話すのを止めた |
(自動詞)止まる、立ち止まる | He stopped near the door. 彼はドアーのそばで立ち止まった |
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write | (他動詞)~を書く | She writes heart-warming novels. 彼女は心温まる小説を書く |
(自動詞)書ける | This pen writes well. このペンはよく書ける(書き味が良い) |
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grow | (他動詞)育てる、栽培する | They grow tomatoes here. 彼らはここでトマトを栽培している |
(自動詞)育つ | The moss grows well in swamps. 苔は湿地でよく育つ |
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start | (他動詞)始める | Let's start the class. 授業を始めましょう |
(自動詞)始まる | The class starts at nine. 授業は9時に始まります |
最後に挙げるのは、自動詞と間違えやすい他動詞です。つまり、他動詞なのに目的語の前に前置詞を置いてしまいそうな動詞です。
discuss ~について議論する |
× | We'll discuss about the deal. |
○ | We'll discuss the deal. 私達はその件について話し合う | |
accompany ~に同行する |
× | Will you accompany with me? |
○ | Will you accompany me? 私と一緒に来ていただけますか | |
approach ~に近づく |
× | The train is approaching to the destination. |
○ | The train is approaching the destination. 列車は目的地に近づいている |
正しい英文を作るため、自動詞か他動詞、どちらか迷った時は辞書を調べる癖をつけましょう。