文化講座
微妙なニュアンスを
皆さん、こんにちは!10月号です。
9月23日は秋分の日でした。英語では、the autumnal equinox day と言って、一日のうち昼と夜の長さがほぼ等しい日といわれています。日本の仏教では、この日はお彼岸の中日で先祖を供養します。お墓参りをしたり、おはぎをお供えしたりする人も多いようです。「供養する」を英語で言うのにぴったりの言葉は難しいですが、「墓参りをする(visit one's ancestor's grave )」や「おはぎをお供えする(offer OHAGI or rice cake with sweet beans )」で表現するのが良いかもしれませんね。
今月取り上げるのは、二重否定です。
文中に否定の意味を持つ語が二つあると肯定の意味を表すのが二重否定です。形は否定文でありながら意味は肯定である文です。
まず、典型的な二重否定の例をいくつか挙げましょう。
1 | I never see this chair without remembering my mother. (この椅子を見ると必ず母を思い出す。) 「母を思い出すことなしに、この椅子を見ることは決してない。」 ↓ 「この椅子を見ると必ず母を思い出す。」 |
否定の意味を持つnever とwithout が互いに打消し合って、肯定の意味を持たせています。肯定を強める働きもしています。 つまり、 「-することなしに~することは決してない」 ⇒「~すれば必ずーする」 |
2 | There is no rule that doesn't have exceptions. (どんなルールにも例外はある。) 「例外のないルールは無い」 |
否定語の never と without が互いに打消し合って、肯定の意味を持たせています。肯定を強める働きもしています。 つまり、 「-でない~はない」 ⇒「~は必ずーである」 |
3 | It's not impossible for him to stop the friction. (彼ならその諍いを止めることができる。) 「彼がその諍いを止めるのは不可能ではない。」 「~できる」と言い切るより少し弱いニュアンスで、微妙な感じを与えていますね。 |
否定語の not と否定を表す接頭語 im- が互いに打消し合って、肯定の意味を持たせています。 つまり、 「~でないことはない」 ⇒「~である」 「~である」と言い切るより少し弱いニュアンスです。 |
いかがですか。意味を強めたり弱めたり、肯定文では表せない微妙なニュアンスが伝わりますね。
では二重否定の文をいくつか作ってみましょう。
①この通りを歩けば、必ず彼に出会う。
②子供を愛さない母親はいない。
③彼女がお世辞を言うのは珍しいことではない。
① | You never walk on this street without seeing him. |
② | There's no mother who doesn't love her child. |
③ | Its not unusual for her to flatter you. |