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やさしい英文法講座

中日文化センター講師 日本福祉大学講師
中村 一子

不定詞

 やさしい英文法講座8月は、「日本文化を英語で紹介する」会話をとりあげ、その中で不定詞を学習します。不定詞? 難しそうに聞こえますか。「to + 動詞原形」ということは知っているけれど良くわからない、という方も多いでしょう。不定詞の働きの基本をしっかり理解すれば、どんなパターンの不定詞も難しくはありません。
 では、どんな働きをするのか見ていきましょう。4月に「英文の骨格」で学習したように、英文は一つの文に一つの動詞。つまり、文の中に動詞を二つ以上使う事ができません。では文の中に複数の動詞を使いたいときはどうしますか?例えば、「私は音楽を聞くのが好き」と言いたい時、「聞く」と「好き」の二つの動詞を使いたいですね。そんな時に用いられるのが不定詞です。不定詞は、動詞の意味は持っているけれど、働きは動詞ではなく名詞や形容詞、副詞に変えてしまう便利なものなのです。例を見ながら三つの働きを説明します。

名詞の働きをする不定詞>
 二つの文を比較して下さい。

I like apples.
私はリンゴが好きです。
to watch TVはapplesと同じく、「何が好きなのか」を表わすlikeの目的語になっています。
applesは名詞ですから、watch TVも名詞の働きをしている事になります。
I like to watch TV.
私はテレビを見るのが好きです。

 *このように、不定詞は普通の名詞と同じように目的語や主語、補語として用いる事ができます。

形容詞の働きをする不定詞>
 二つの文を比較して下さい。

I want something cold.
 私は冷たいものが欲しい。
cold はsomething(名詞)を修飾する形容詞です(冷たい→何か)。これと同じくto drinkはsomethingを修飾して、「飲むための何か」即ち「飲み物」となります。したがって、to drinkはcoldと同じくsomethingを修飾する形容詞の働きをしている事になります。
I want something to drink.
 私は飲み物が欲しい。

 *このように不定詞は普通の形容詞と同じように名詞を修飾します。

副詞の働きをする不定詞>
 二つの文を比較して下さい。

I will go to the States soon.
 私はまもなくアメリカへ行きます。
soon はgo(動詞)を修飾する副詞です(まもなく→行く)。同じようにto study Englishもgoを修飾していますね(英語を勉強するために→行く)。
したがって、to study English はsoonと同じくgo を修飾する副詞の働きをしていることになります。
I will go to the States to study English.
 私は英語を勉強するためにアメリカへ行きます。

 *このように不定詞は普通の副詞と同じように動詞や形容詞を修飾します。

 それでは、日本文化を英語で紹介する場面で不定詞がどのように用いられているのか見てみましょう。まず、<Vocabulary(語彙)>をチェックしてから会話に入ります。(1)~(10)の語彙の意味をしっかり確認し、英語から日本語に、日本語から英語に直す練習を繰り返します。日本語を見てすぐに英語が口から出るようになったら、<Situation(場面 / 状況)>と<Dialog(会話)>に進んで下さい。
<Vocabulary>

(1) 中旬 middle
(2) 故郷 hometown
(3) 仏教の Buddhist
(4) 霊、精神 spirit
(5) 先祖 ancestor
(6) ~を見送る see ~ off
(7) あの世 the other world
(8) 伝えられる be handed down
(9) 世代 generation
(10) 伝統 tradition

<Situation>
夏休みを利用して日本にホームステイにやってきたJimが、ホストファミリーのKenjiと話しています。

<Dialog>

Jim Kenji, I hear many people travel in the middle of August in Japan.
Kenji Yeah, people go back to their hometown to enjoy Obon.
Jim Obon? What is Obon?
Kenji Obon or Bon festival is a Buddhist event to honor the spirits of the ancestors.
Jim Oh, that sounds interesting.
Kenji It is held from August 13th to 15th or July 13th to 15th. On the first day, people welcome the spirits of the ancestors who return to their families. And on the night of the last day, people make a fire to see them off to the other world.
Jim I see. That's why many people move to their hometown in mid-August.
Kenji That's right! It has been handed down from generation to generation. I want to follow tradition.
ジム 健二、日本では八月の中旬にたくさんの人が旅行するってきいたんだけど...。
健二 そうだよ。みんな、お盆で故郷に帰るんだ。
ジム お盆? お盆って何?
健二 お盆は先祖の霊を迎える仏教の行事なんだ。
ジム へえ~、面白そうだね。
健二 8月の13日から15日か7月の13日から15日に行われるんだよ。初日の13日には家に帰って来る祖先の霊を迎えて、最終日15日の夜には送り火を焚いて先祖の霊をあの世に送るんだ。
ジム なるほど。だから8月の中旬にみんな故郷に帰るんだね。
健二 そうなんだ。 これは世代を超えて伝えられてきたんだよ。伝統は守っていきたいからね。

会話の中に登場する不定詞は青字になっています。
☆People go back to their hometown to enjoy Obon.
 (お盆を楽しむために故郷に帰る。)
 to enjoyはgoを修飾します。(楽しむために→行く)動詞を修飾していますから
 副詞の働きをしています。
☆Obon or Bon festival is a Buddhist event to honor the spirits of the ancestors.
 (お盆は先祖の霊を崇める仏教の行事です。)
 to honorはeventを修飾しています。(崇めるための→行事)名詞を修飾しています
 から形容詞の働きですね。
☆I want to follow tradition.
 (私は伝統に従いたい)
 to followはwantの目的語です。名詞の働きをしています。

いかがですか?不定詞が少しは身近に感じられますか? では、また来月!

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