文化講座
着生ランの栽培
私は、野生ランの中でも、セッコク、フウランなどの着生ランが好きで数多く育てています。年に2回名古屋の東山植物園で展示会を開催しています。着生ランの栽培で良い所は、たまに水やりを忘れても枯れない事です。私は他に数多くの植物を育てていますし、たまには昆虫採集に行ったりして、世話が行き届かなかったりしても、着生ランは元気に育ってくれます。
なぜならラン科植物は他のイネ科やキク科などの植物と違って成長が極端に遅く、種子から親株になるまで6~7年かかります。こんなに成長が遅くては他の植物に負けてしまいます。それであえて、他の植物が生えない環境の悪い、木や岩の上に生存の場所を求めていったのです。
ですから2~3日水やりを忘れても簡単には枯れません。かえって毎日水を切らさないようにたっぷりとあげ続けると根が腐って枯れてしまいます。サボテンや多肉植物に水を与えすぎるのと似ています。
栽培の基本
- 風通しの良い所に置く。吊り下げるともっと良い。
- セッコクは、日が強め。私は、ネットの下で半日以上日光に当てています(植物の上手な夏越しを参照)。
フウランは、少し弱めが良いです。 - 水やりは乾いてからにしましょう。
- 鉢はなるべく、よく乾く素焼き鉢に植える。
- ヘゴやコルク板に付けても良い。
- フウランは少し寒がるので、冬は凍らせないように屋内に入れると良い。
外で冬を越させるには、水やりを少なくして、葉がしぼむくらいにすると、ランの細胞の水分が少なくなり、凍りにくくなります。水が多いと細胞の中の水分が凍り膨張して細胞が破壊され枯れます。 - 夏はよく乾くので毎日水をあげても良い。夕方にあげましょう。
- 植え替えは秋から春の新芽が動く前に済ませます。
- 肥料は真夏を除き、薄い液肥(2000倍)を月に2回ほどあげます。
マグァンプKなどの緩効性の固形肥料をあげても良い。 - 水苔で植えこむ。中に炭や発砲スチロール入れて、水苔の量を少なくしてよく乾くようにする。
大明セッコク・・・台湾原産のデンドロ、新芽が中斑で出て後で緑になります。
中斑の時は茎(矢)も黄色になり、とても美しい。
フウラン「曼珠沙華」 距が3本あるので華やかです。
ナゴラン赤舌・・・ナゴラン実生苗から選抜しました。
ナゴランは少し弱めの陽なのでセッコクの下に吊るします。水も少し多めなので素焼き鉢ではありません。
アマミフウランのコルク付け
ムカデランの木付け
ミヤマムギラン(両端)とオサラン(中央)斑入りこの2種もフウランと同じで少し暗い所に吊るします。
ヨウラクラン(上)とムギラン(下)のヘゴ付け
ボウラン素心
セッコクのヘゴ付け
浸み壺に付けたフウラン。浸み壺とは素焼きの壺のまわりにランを付けて壺の中から浸みだした水で育てる。
吊り金具で吊り下げて育てます。市松模様のダイオネットを張っています。
ギャラリー(最近の私の庭の植物です)
原種シクラメン プルプラスケンス
年中葉があるタイプです。この暑い時期に咲いています。
ツボミギボウシ 韓国原産のギボウシ
花が開かないので咲き終わらない?
ギボウシの花は1日花なので、濃い青のつぼみは素晴らしいと思います。
植物の知識が広がる講師H.P.
http://floweryhill.net/