文化講座
ベトナム・クックホン国立公園 Ⅱ
今年も、ベトナムのクックホン国立公園に、昨年と同じく昆虫の調査に1週間行って来ました。
昨年より1週間早い(5月中旬)事と、現地の状況が分かってきたので、昨年見ることが出来なかった植物に出会えそうな予感がしてわくわくしていました。調査なので観光の時間は全く無く、空港から公園に直行したあと、朝から夜明けまで24時間昆虫採集という、大変幸せな1週間を過ごす事になります。
最近の昆虫採集を少し説明しますね、従来の網を持って探し歩く事もしますが、最近はトラップ(わな)を使って、昆虫をおびき寄せて採集する事が多いです。ベトナムには、最新のフェロモントラップ(註)を持って行きました。私はトラップでの採集は、好きではないのであまりしません。どうしてかというと、トラップ(わな)の近くに居ないといけないので、行動範囲が狭くなる為です。今回の参加者の中で、私が一番広範囲を歩き回りました。では今回見かけた植物を紹介しましょう。
万両・・・鮮やかなピンクの花、高さ3mぐらいの木でした。
- トキワアジサイ
- 昨年も紹介しましたが、大型の常緑のアジサイです。花弁(ガク片)はありません。
トキワホウチャクソウ・・・黒い花が咲いていました。
- ハランの仲間
- シュロソウのような強い筋があり、分からないので抜きましたら根元に花がありハランと分かりました。
- 変わった葉のシダ
- 私はアゲハチョウに見えました。友人はエンゼルウイング(天使の羽根)と言いました。黒軸で美しいシダです。
シクンシ・・・別名カラクチナシ。常緑のツル植物。
- パパイヤの花
- クリーム色の大きな花です。2階のベランダから見ることが出来ました。高い所に咲くので中々近くでは見る事ができません。
ジャックフルーツ・・・世界最大の果物と呼ばれています。大きな物は30キロを超えるそうです。
昨年バナナがとても美味しかったので、今回は私の希望で、ハノイから公園までの移動中にいろいろな所でバナナを手に入れました。台湾バナナのように小さな物から、太いものまで日本では、見かけないタイプがありました。どれもコクがあって、とても美味しかったです。日本に持ち帰りたかったですが、害虫(実バエ)がいるので絶対ダメ(法律で禁止されている)なので、毎日食べまくりました。驚いたのは、緑色のままで美味しく食べられるバナナがあった事です。
手前が太短いバナナ
ライチ、ブドウ、ドラゴンフルーツ、マンゴー、ランブータン、オレンジ、スイカ、後ろの段はリンゴ季節感が全くありません。お店の人の後ろの冷蔵ケースには、雪だるまのケーキがありました。雪が降らない熱帯の小さな町に雪だるまのケーキが売っていて驚きました。
公園で見かけた生き物
この緑のきれいなヘビは、枝にいると分かりません。
草の中1mぐらいの高さを移動していました。水色に見えて捕まえようとしていましたら、友人が毒ヘビみたいだから止めた方が良いと、止めてくれました。
ムカデ(約20cm)
- シロチョウの蛹殻
- 蝶がたくさんいる事で有名な公園なので蛹の抜け殻がいたるところに付いています。もちろん蝶はいっぱい飛んでいます。
スソビキアゲハ
アゲハの仲間とシロチョウ
この公園には、保護された野生の猿の飼育施設があります。元気になって放されても、近くの森に棲んでいます。人に慣れてしまったそうです。
註)フェロモントラップ
これは最近、有機無農薬栽培をする農家が増え、農薬(殺虫剤など)が使えなくなった為に注目された防虫方法で、メスがオスをよぶフェロモンを合成して、農地に設置すると、オスがメスと出会えなくなり特定の昆虫のみ増殖を防ぐ事ができます。フェロモンは大変微量なので以前は合成する事が出来なかったのですが、信越化学工業(株)さんが合成に成功して多くの製品を作っています。
右側に吊るしてある一つ一つが、いろいろなタイプのフェロモンを吸着させた物です。今回もスカシバガ(蜂に擬態した蛾)を目的としたフェロモンです。風通しのよい所に吊るして飛来するのを待ちます。
今月は植物から、だいぶ脱線してしまいました。
植物の知識が広がる講師H.P.
http://floweryhill.net/