文化講座
食虫植物
葉や茎などを変化させて、虫を捕まえ、その養分を吸収する機能を持った植物を食虫植物と呼びます。
湿地などの肥料分の少ない痩せた土地に自生している為、昆虫などから微量要素を取り込んでいます。
光合成で十分育ちますので必ずしも虫が必要なわけではありません。
東海三県は全国でも湿地の多い事が知られており食虫植物の宝庫としても有名です。この地域の湿地に自生する植物の事を「周伊勢湾要素植物群」と呼びます。シデコブシ、ハナノキ、マメナシ、シラタマホシクサ、ヒメミミカキグサなどがあります。
食虫植物の魅力は、虫を捕まえる特異な形態にあると思います。
1)粘着式・・・モウセンゴケ、イシモチソウ、ムシトリスミレなど
2)バネ式・・・ハエトリソウ、ムジナモ
3)落とし穴式・・・ネペンテス(ウツボカズラ)、サラセニアなど
4)吸い込み式・・・タヌキモ、ミミカキグサ
5)迷路式・・・ゲンリセア
ミミカキグサの仲間は、根にプランクトンを捕まえる袋を持っています。この地域(愛知、岐阜、三重)には、日本に自生しているミミカキグサ4種のすべてがあります。
特に、岐阜県のヒメミミカキグサは愛知県産に比べ小さく世界でも最も小さいと言われています。
外国種
ハエトリソウ・・・北米原産。葉の中に生えているトゲを2回触ると閉じます。
年中屋外で水を切らさず、よく陽に当てて育てます。
ムシトリスミレの仲間P.primuliflora ・・・北米原産。ピンクのプリムラのような花を咲かせます。
栽培上の注意点
サラセニア、イトバモウセンゴケなどは、耐寒性もあり非常に繁殖力も強いので、決して湿地に植えてはいけません。瞬く間に在来種を追いやってしまい、駆除が大変難しい事になります。
ネペンテス(ウツボカズラ)の仲間は、耐寒性がなく栽培が難しい(空中湿度が少ないと壷が出来づらい)ので、環境(温室など)を整えて栽培しましょう。一年草のつもりで夏場だけ楽しむ事も良いでしょう。
今回、食虫植物を紹介しました。私は小さい頃から虫が好きで昆虫採集から、植物に興味を持つようになりました。何故なら昆虫と植物は深いつながりがあり、虫を採るためには植物をよく知らないと採れないからです。中学生になり当然、生物クラブに入り顧問の先生が、植物研究家の井波一雄先生だった事もありなお一層熱心に取り組むようになりました。ある時、先生から虫を食べる植物があると聞き、友人と平和公園(千種区)に自転車で1時間以上かけて出かけました。現在は桜の綺麗な公園ですが、当時(1966年頃)は、一面の大湿原が広がっていました。モウセンゴケとイシモチソウを見つけ嬉しかった事を覚えています。
現在もその流れで「昆虫展」や「観察会」なども開催しています。
東山動植物園
東山動植物園、湿地園にてハッチョウトンボ観察中。
ハッチョウトンボ ♂
サギソウとハッチョウトンボ ♀
日本で一番小さいトンボ2cmほど
植物の知識が広がる講師HP:
Flowery Hill http://floweryhill.net/