文化講座
棗の理美
秋の季、草木の実の色づきはまだ早く、その中に棗 の実を観することが出来ます。
棗は新芽が春には出ず、夏に入ってから芽を出すことから「夏芽 」と呼称されたのです。そして、その葉脇から淡黄色の小花を咲かせ、次いで果実を付け、青く熟したものを取って食すと林檎のような味がし、紅色に熟したものは味も濃厚となります。
古代中国で棗は、薬の果実として重され、東の海に棲 む「東王公 」なる神仙は、棗子 (棗の果実)を食して長寿の齢を得たとされ、これに対し、西の山郷に棲む「西王母 」は蟠桃 (桃の果実)を食して三千年の長寿を全うしたと伝えられております。
棗の薬効としては、果実を乾燥させたものを煎服すると「精神安定、解熱、健胃、不眠症、鎮咳」などの万病を治す効があるとされております。
そんな棗を『万葉集』では、

棗は新芽が春には出ず、夏に入ってから芽を出すことから「
古代中国で棗は、薬の果実として重され、東の海に
棗の薬効としては、果実を乾燥させたものを煎服すると「精神安定、解熱、健胃、不眠症、鎮咳」などの万病を治す効があるとされております。
そんな棗を『万葉集』では、


図版[I]

図版[II]
この歌では、それぞれの植物の字に寓意が隠されており「
そして、この棗の「
そんな棗の花が咲き終り、果実が熟し始めた枝を手折ったものの図版[I]と、
どうかこの秋の季には、薬効の高き棗を観し、また縁あらば食して益効を得てみて下さい。