文化講座
楓
いずれの野や里山を訪れてみると、緑々とした青葉の木葉を観じることがあり、その中で楓の瑞々しき葉との出会うことがあります。
そして『万葉集』にて楓の歌は二首が
(児毛知山の若楓が色づくまでに、いっしょに愛し合っていたいと私は思うが、おまえはどう思うか)と歌われております。
そして、この歌の「もみつまで」の「もみつ」は、草木の葉が晩秋に緑葉が黄や紅に変色することから、恋心の
そして、もう一首の歌として、
(我が家の庭に色付く楓を見るたびに、あなたを心に掛けて恋しく思わない日はありません)と歌われており、この歌では、青色葉が美しく紅葉した楓の色相に妹の紅顔を偲んでの歌であります。
そして、平安中期の『
そして、万葉時代に楓は、薬用として供されたほか、建築や家具の材としても好んで用いられております。そして、室町から江戸時には、
