文化講座
合歓(ねむ)の理美

図版[1]

図版[2]
「合歓」は漢名で、葉が相
そして、その性質の特性から「

(昼間は開き夜は恋いつつ寝るという
そして、この紀女郎の歌に対して家持は、

(あなたの形見の合歓は花ばかり咲いて、おそらく実を結ばないのではないでしょうか)と、合歓の花は、夕方の葉が眠るころに淡紅色で絹糸状の優美な房花を開かせ、お互いの恋心の深さは、その合歓の赤い絹糸花に似ているのですが、この恋の赤い花は実ることがなく、葉が眠るが如くであり、恋の不成立を合歓の花姿と葉姿に喩えて詠じられております。
そんな合歓の葉が眠りに入り、花が咲き匂う夕方ごろ手折り、細首青ガラス瓶に
どうかこの夏の季、淡い紅に彩る合歓の花と眠る葉の妙美を観した折りには、「お早う、おやすみなさい」と声をかけてみて下さい。きっと夫婦の仲のみならず異性の友との心の交りえの生命感美を、合歓が与えてくれることと思います。