文化講座
万葉植物から伝統文化を学ぶ
お正月を言祝ぐ万葉の草木といえば、玉箒 が挙げられます。
玉箒とは、きく科の高野箒 のことで、花は晩秋のころ山路の辺りに、白い糸状の可愛らしい花を撓 めて咲きます。そして、冬季に入って褐色と化したものを手折り新年を浄 める箒とするのです。
その玉箒の花を図版[I]で、ペルシャの瑠璃ガラス瓶に挿 けた作品[II]を合わせて参照してください。
図版[I]
図版[II]
図版[III]
万葉の時代に玉箒は、新年の言祝ぎを占う「目利箒 」として、大切な朝廷の行事の「初子 の儀」として用いられ、その折りの歌を、大伴家持 は、
(新春の初子の日の玉箒は、手に取るだけでゆらゆらと玉の緒が揺れて音をたてることよ)
と、天平宝字二年(758)正月三日の初子の日に、孝謙 女帝が諸臣に玉箒をお与えになられ、宴が催されたとき、詔 に応えて高らかに詠ったのです。
この初子の玉箒とは、高野箒を根引きして、根付のまま束ねて箒とし、その把手のヶ処を紫で染めた鹿皮を巻き、さらに金糸で巻きます。そしてさらに、箒の先の細枝に白・緑・黄・青・赤などの色ガラス(ビーズ)玉を貫き通して飾りつけたものなのです。
往時は、天皇が手辛鋤 で田を耕す仕種 をして、豊穣と祖先を祭り、皇后は玉箒を手にして左右に揺らせながら蚕 の室を掃き浄めて、蚕神 を祭るのです。そして、その揺らせたときに玉箒の枝先の玉と玉が触れ合って、カチカチと澄みやかな音をたて、その音の響きによって、新たなる年の養蚕の吉凶を占ったのです。
その往時の初子の玉箒「子日目利箒 」が正倉院の御物として伝承され、正倉院展にて観することが出来ます。図版[III]を参照してください。
この行事は、中国の周・漢の時代に正月の行事として催されたものが伝えられたとされております。
本年は巳 (蛇)の年、蛇は大地から生命の輝きをもたらす、再生のエネルギーを秘めた生きものであると、オリエントの国では言われております。
どうぞ、この巳にあやかって新年の最初の子の日(1月10日)には、玉箒を大地から一本 根引きして室などを掃き清めて吉なる時を得てみてください。
玉箒とは、きく科の
その玉箒の花を図版[I]で、ペルシャの瑠璃ガラス瓶に
図版[I]
図版[II]
図版[III]
(新春の初子の日の玉箒は、手に取るだけでゆらゆらと玉の緒が揺れて音をたてることよ)
と、天平宝字二年(758)正月三日の初子の日に、
この初子の玉箒とは、高野箒を根引きして、根付のまま束ねて箒とし、その把手のヶ処を紫で染めた鹿皮を巻き、さらに金糸で巻きます。そしてさらに、箒の先の細枝に白・緑・黄・青・赤などの色ガラス(ビーズ)玉を貫き通して飾りつけたものなのです。
往時は、天皇が
その往時の初子の玉箒「
この行事は、中国の周・漢の時代に正月の行事として催されたものが伝えられたとされております。
本年は
どうぞ、この巳にあやかって新年の最初の子の日(1月10日)には、玉箒を大地から