文化講座
梓の理美

図版[I]

図版[II]

図版[III]

図版[IV]
夏の季に入り、涼しさを求めて緑々たる樹林の小径を散策していると、時折りおそ咲きの淡い褐色の花房を
梓の木の別名として「
『万葉集』で「梓」は32首と多く歌われており、すべて「
そして、往昔では弓の弦を引くことは、
(梓の木で作った弓を引いたり緩めたりするように、いろいろ思い
そして、次の歌では、その弓の
(梓弓を爪
この爪弾く「梓弓爪引く夜音」は、神霊な招きを得て悪鬼を退ける呪力があることと信じ伝えられております。
梓は「引く、末、音、弦」などにかかる枕詞であります。そして、往昔での神社では、巫女が神霊を呼び寄せるために弓の弦を鳴らしていたとされ、その巫女を梓巫女と呼称していたとされ、そうした縁り弓として、名古屋の熱田神宮の宝物館には、室町時代の重要文化財の梓弓が保存されております。その弓の図を図版[III]で参照して見て下さい。
こうした縁の爪弾きの行為は、今日でも宮中では警固のために
その梓の木を古き四方の尊式銅瓶に、葉面を表向きに立て、この季の花の桔梗を出合せて
どうぞ、この季、弓の無き人は、身近な枝を手折りて手造りの弓を作って引きみ緩しみて、各自の願望を成就させて見て下さい。