正月七日は、五節句の一つの「
人日
の節句」です。この日には七草粥を食すことから、「七草の日」としても親しまれています。
そもそも「人日」とは、中国の
占書
に「一日は鶏...七日は人、八日は
穀
」を占い尊ぶとされ、厳寒の季に人を病から守り、清明温和に過ごさせるため、八日の穀を薬効のある若菜を摘み、
粥
として食すことを、七日の人日に合わせて節としたと伝えられています。
万葉集には七草(せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ)のうち、
芹
と
鈴菜
が詠まれていますが、節句に因んだ歌ではありません。巻頭に雄略天皇の
御制歌
として
(菜摘みのためのよい
籠
をもち、
苗
を掘りおこす素晴らしい
竹箆
を持ち、この岡で若菜を摘む娘さんよ、どこに住んでいるのか、名前も聞かせて欲しい)と詠われています。
往時、若菜を摘むということは、同時に、男女が互に素敵な人を摘む、即ち求婚というもう一つの目的があったことが伺い知れます。
そして、こうした若菜の根を引く行為は、もう一つ大切な「
子
の日」の行事として発展していくのです。
「子の日」とは、正月最初の
子
の日を示し、その「
子
」から「
根
」に音通させて
言祝
を意味する松や
高野箒
や
日陰蔓
などを根引きし、その根の姿で吉凶を占ったのです。
集中には、その初子を大伴家持は、 |
「紫野若菜摘み」
『都林泉名勝図会』 江戸時代 |
(新春の初子の日の高野箒の枝先につけた玉が
揺
れて、音をたてることよ)と詠んでいます。この音の響によって、その歳の
養蚕
の吉凶を占ったのです。
新年の初子は六日です。自然との共生を意しながら、その人の思いの若い草か木を根引きし、その姿で、本年の吉凶を占って見ては如何でしょうか...。そして次
の日が「人日・七草の日」。自らの身体と人を尊う心を意しながら、若菜を摘み粥を食して、元気な冬を過ごして見て下さい。