文化講座
小楢の理美

図版[I]

図版[II]
紅葉の季、山里や街の公園などでは、赤く色づいた
その小楢の葉は、縁がぎざぎざとしており栗の葉にも似ておりますが、赤い色づきは一段と見ごたえがあります。そしてまた色づく前には葉脇に長く楕円の形の団栗を実らせるのです。
そのどんぐりの実を熟させた姿を図版[I]を参照して見て下さい。
小楢には、地域によって呼名が色々と異なり、「
まず小楢の歌では、「
(下野のみかもの山の小楢のように美しいあの子は、どんな男の人のところへ嫁ぐのだろうか)と歌われ、「下野」は東の国で、現在の栃木県の佐野市あたりで、「美可母の山」は「
そして、次は「
(山科の石田の小野の里の柞原を見たあの方は、山道を越えていることだろうことよ)と、小楢の木の生えている山里の原の美しさを観しながら、旅の夫のことを思いて詠ぜられております。
そして、その美しい情景を意しながら、鮮やかに紅葉した小楢を江戸時代の山里の人が採取した果実を入れる籠を用いて、小楢の下部に紅葉の
どうぞ、この紅葉の季、色々な落葉樹の紅葉の中で、小楢・