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掌(てのひら)の骨董

日本骨董学院・学院長
東洋陶磁学会・会員
日本古美術保存協会・専務理事 細矢 隆男

掌の骨董134.シュメール文明の、ラピスラズリ「印章」(シール)


掌のラピスラズリ製の印章

 私はかつて、シュメールの印章(シリンダー印章)に興味を持ち、かなり調べましたが、当たり前といえば当たり前のことですが、市販の作品やインターネットでの大半の作品は新しく、本物は少なく、高価でした。

 印章(シール)は何かといえば、現在、我々が使う印鑑のルーツと言うべきもので、大切な手紙の封印、交易の証が主な要素で、聖なる契約の「証」、エジプトでは死者の墓を守る「護符」に発展するケースもあり、有名なエジプトのツタンカーメン王墓の入口にも泥の封印がなされ、発見時にそのまま残ってました。王は神に守られると信じられたし、まだ「封印」の呪術的な力、信仰力のような力は大きかったようです。


拡大写真(部分)

 シュメール文明は、紀元前4000年あたりからメソポタミア南部で栄えた、世界最古の都市文明と考えられ、長きにわたるメソポタミア文明の「基礎をなした」初期文明と解釈されてきました。メソポタミア文明は、その後数千年にわたりアッカドやバビロニアなどの異なる民族によって継承、引き継がれ、特にアッカド朝では技術が上がり、高精度の彫刻が制作されました。のちにインドに近いアフガニスタンやガンダーラ地方にも遺品は残ります。

 私は30年ほど前から、メソポタミア文化と日本文化の根元は同じではないのか、ルーツは同じではないのかと考えたことがありました。最近そうしたことが注目され、後のユダヤ・ヘブライ文化と同祖ではないかと話題に取り上げられるようになりました。


粘土に押し付けた復元図

 天皇制や神道との関係、聖櫃(アーク)と「神輿」が似ていたり、宗教的にも、習慣的にも似たところがたくさんあります。今はまさに日本史どころか世界史そのものが変わる可能性も指摘されています。

 言語的に考えても日本語は近隣の言語には類似性はなく、遠く離れた古代ヘブライ語に近似性があるように考えられてきました。日本の地名には2000以上がヘブライ語に翻訳できるといわれます。また何より「国歌」君が代は、時代を経て、言語的には大きく変化はしていますが、あらゆる類似性からヘブライ語にかなり翻訳できるそうです。興味がおありでしたら、「君が代ヘブライ語」とネットに入力してみてください。偶然とは考えにくいです。ヘブライ文化では「東方」を聖なる場所と考えて、極東へ、極東へとヘブライ人は渡ってきたようです。


拡大写真(部分)

 学会はこうした類似性だけでは認めませんが、私は関連類似性だけでも偶然であることはあり得ないことであり、地名のヘブライ語との関係や文化の類似性からも確率はかなり高いものがあると考えてます。

 秦の始皇帝の眼は青であったとか、聖徳太子はシルクロードの「突厥」という国からやって来たとか、とにかく東西交流は盛んに行われていました。こうした「推測」はおもしろく、ロマンがあります。歴史家で、哲学者でもあります梅原猛氏は「幾つかの推測の結果が、同じ方向を指しているなら、その推測は正しい可能性がある」と言われています。皆さんも、楽しい推測をたくさんして欲しいです。推測は楽しい頭の体操です。

 今回のラピスラズリのシリンダー(円筒)印章の図柄は、3人の人物、うち一人は椅子に座り、長い杖を持ち、王か支配者のようで、2人は立ち、その家臣か従者のようです。他に鹿らしき動物と壺、剣のような十字型、食べ物らしき6個の丸型の形があります。

 鹿は蛇に代わり聖なる動物として、古代史に登場しますが、弥生時代あたりから蛇は鹿にその聖なる立場を譲り、日本では奈良時代に鹿は聖なる動物として敬われてます。理由を私は考えましたが、鹿は「光」を好む故に、崇高なる光に憧れているように思われますから、聖なる大人しい動物として、優美な姿が愛されるようになったからかもしれません。


他の印章たち

 本シリンダー印章の図柄はかなり磨耗しており、顔の彫りも少し磨耗してきてますが見事です。また紐を通す「穴」も小さく自然で、両方から彫ってますし、歪んで真ん中で繋がってます。贋作というか、新しい作品は、見た目にも彫りが新しく、古い作品とは完全に違います。粘土に強く押し付けるので、長い間に磨耗はかなり進み、数代にわたり使われますと、より磨耗は進みます。

印章の鑑定ポイント
①磨耗度
②図柄(絵柄)内容
③紐穴の空け方
④彫られた絵柄の丁寧さと彫り方の特徴
⑤材質

 また機会がありましたら、古いシリンダー印章を他に多数持ってますから、また詳細にご紹介できればと思います。


掌のラピスラズリ製シリンダー印章

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