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予防医学としての食を学ぶ

名古屋大学環境医学研究所助教・中日文化センター講師
医学博士・食医学者 伊藤 パディジャ 綾香

第45回 世界の長寿食(8)カリフォルニア

世界の食に学ぶ健康長寿の秘訣、8回目はカリフォルニアを取り上げます。WHO(世界保健機関)が2018年に報告した統計では、アメリカ合衆国(以下アメリカと省略)の平均寿命は78.6歳。世界には平均寿命が80歳以上の国が、30近くあるので、アメリカは長生きの国とは言えないかもしれません。ところが、州別に平均寿命を見てみると、カリフォルニア州の平均寿命は81.6歳と、アメリカ全州の中で第2位の長生きです。カリフォルニアの食生活から、長寿の秘訣を考えてみましょう。

順位 州名 男女平均寿命 男性平均寿命 女性平均寿命 白人系 ヒスパニック 黒人系 アジア系 アメリカ先住民
1 ハワイ 82.3 79.3 85.3 81.3 87.9 80.9 83.7 81.9
2 カリフォルニア 81.6 79.1 84.1 80.7 83.6 76 87.6 75.7
3 ニューヨーク 81.3 78.8 83.6 81 82.4 78 87.4 83.7
4 ミネソタ 80.9 78.7 83 81 83.4 79.3 86.8 69.9
5 コネチカット 80.9 78.3 83.3 80.6 82.9 78 87.2 83.6
6 マサチューセッツ 80.5 77.9 83 80.2 82.1 78.8 86.9 84.1
7 コロラド 80.5 78.3 83 80.6 81 77.2 87.9 74.2
8 ニュージャージー 80.4 77.9 82.9 80.2 82.7 74.8 87.2 84.1
9 ワシントン 80.4 78.3 82.6 80.1 81.7 78 84.3 74
10 フロリダ 80 77.9 82.7 79.9 82.1 76.1 86.1 81.6

表.アメリカ合衆国における州別の平均寿命(Robert Wood Johnson Foundation の調査)

【カリフォルニアの基本知識】

カリフォルニア州は、アメリカ大陸の西部、太平洋岸に位置し、南北に長いアメリカ合衆国の州です。州都はカリフォルニア州北部のサクラメント。面積は、アラスカ州、テキサス州に次いで3番目に大きな州です。

人口は、アメリカ全州のうち最も多く2019年時点で約4千万人、うち白人とヒスパニック(スペイン語を話す住民、ラテン系アメリカ人)が4割程度、アジア人と黒人系が1割程度ずつで構成されています。スペイン語を話す人が多いためか、公文書や家電製品の説明書は英語とスペイン語で書かれているのをよく見かけます(筆者は約7年、ロサンゼルスに在住していました)。

年中暖かく、乾燥した気候で過ごしやすい一方、水不足が問題になることや大きな山火事が発生することも少なくありません。ヨセミテ、セコイア、デスバレー、チャネルアイランドのような有名な国立公園がいくつもあり、休暇はキャンプやハイキングを楽しんだり、サーフィンや、スキーを楽しんだりと、アウトドアを楽しめる気候、地形です。

カリフォルニア州の国立公園:左から2つはヨセミテ、デスバレー、ジョシュアツリー

ハイキングの様子:一番左は筆者

【カリフォルニアの食の特徴】

カリフォルニアの食の特徴として、①食が多国籍であること②農作物が豊富であること③健康志向で、新しいもの好きなこと、が挙げられます。

①食が多国籍
文化的背景が異なる様々な人が住むため、食文化も多様です。特に、メキシコ領土であったことや、メキシコを含む中南米からの移民が多いこともあり、カリフォルニアではメキシコ料理を日常的に食べます。メキシコ料理レストランが多く、フードトラックなどでも手軽にメキシコ料理を楽しむことができます。また、シーフードレストランなどでもメキシコ料理が取り入れられており、メキシカンフュージョンとも言えるカリフォルニアスタイルのメキシコ料理を食べることもできます。

カリフォルニアで食べられるメキシコ料理:左から、タコス、ナチョス、タコスとシーフード、シーフードタコス

メキシコ料理以外にも、世界各国の料理を気軽に楽しむことができるのは、カリフォルニアの食の大きな特徴のひとつ。大きな都市であればどこでも見かけるチャイナタウンはもちろん、サンフランシスコにはジャパンタウンがありますし、ロサンゼルスにはリトルトーキョー、リトルオーサカがあり、日本で食べられるような日本の食事から、カリフォルニアスタイルの日本食まで楽しめます。カリフォルニアロールが典型的なものです。

さらに、リトルイタリー、リトルサイゴン、タイタウン、リトルアルメニア、リトルテヘラン、リトルエチオピアなど、各国の文化が集まる地域が各地にあり、本格的な料理を日常的に食べられるのは大きな楽しみです。このように多国籍料理を気軽に食べられることは、各国の食文化に触れる良い機会であり、新しい食材や食べ方スタイルを日常生活に取り入れられるため、健康に過ごすための方法に関して、選択肢が多くなるのかもしれません。

カリフォルニアで食べられる各国料理:左から、韓国料理、ロシア料理、ペルシャ料理、エチオピア料理、エチオピアのお茶

②農作物が豊富

カリフォルニア州は、地中海性気候に似た温暖な気候で、肥沃で広大な盆地を中心として農業地帯を形成しています。在サンフランシスコ日本国総領事館によると、2017年のカリフォルニア州の農家数は全米の4%に過ぎないものの、農産物販売額は全米1位。過去50年以上にわたり、全米一の農産物販売額を誇ります。全米で採れるブドウのほとんどはカリフォルニアで生産されているほか、イチゴや米やナッツ類などもたくさん生産されています。カリフォルニア米は、日本で作られる米と遜色ないくらい美味しく食べられるものも多く、筆者も在住中はカリフォルニア米に頼る生活を送っていました。

ナッツは、たくさん採れるだけあって、スーパーなどで安価で購入できます。また、量り売りをしていて、好みのものを必要な量だけ買うことができる手軽さは、健康に過ごすための秘訣のひとつかもしれません。ナッツには食物繊維が豊富に含まれ、ビタミンB群、カルシウムや鉄、亜鉛などのミネラル、そして質の良い脂質(オメガ9系脂肪酸)が含まれるため、健康的な食品です。ランチを軽く済ませたい同僚はナッツを食べて過ごすこともありました。また、ナッツはハイキングに欠かせないスナックでもあります。ハイキングでお腹が空いた時に手軽に食べられるおやつとして持ち歩くのです。

ブドウ生産量が多いことと、地形に恵まれていることから、ワインもたくさん作られます。カリフォルニアといえば、世界的に有名なワインの産地。フランスの約3/4もの面積があるといいます。北部に位置するナパバレーやソノマバレーなどの名産地のほか、中南部にもたくさんのワイナリーが存在します。ワインには抗酸化効果があり、適量の消費により、健康効果が期待できます(第40回「世界の長寿食(3)」フランス参照)。

カリフォルニアワイナリー:ノースコースト(北部)のナパやソノマは世界的に有名だが、セントラルコースト(中部)にはサンタバーバラ、サウスコースト(南部)にはテメキュラなど、ワインの産地が各所にある。

③健康志向で、新しいもの好き

カリフォルニア住民はリベラルで、新しいもの好き。映画などのエンターテイメントに関わる人が多く住むせいか、健康志向の人が多い印象です。スーパーには、健康を意識した食品もたくさん。オーガニック食品が並び、ココナッツオイルやナッツ、コンブチャという発酵茶(昆布茶ではなく、酢酸菌を発酵させた飲み物)、ジュースクレンズ、フローズンヨーグルトなど、流行を取り入れて楽しみつつ、常に健康になることを意識しているようです。

【まとめ・カリフォルニアの食に学ぶ長寿の秘訣】

カリフォルニアの食に秘められた健康長寿の要素、私たちの日々の生活に取り入れられるものは見つけられたでしょうか。

  • 多種多様な食材を、多様な食べ方で食べる
    多国籍の料理を食べられるカリフォルニアでは、食の選択肢が多く、食材の種類も、調理方法も、味付けも様々です。日本食だけでなく、様々な国の食に興味を持つことで、健康のヒントが得られるかもしれません。
  • ナッツ
    おやつに、昼食代わりに食べられる健康食。便秘が気になる人にも効果が期待できます。日本でもたくさんの種類のナッツが買えるようになってきましたので、食生活に取り入れて、健康的におやつを食べましょう。チョコレートやクッキーを買う時にも、ナッツが入っているものを選ぶとわずかながら健康的になるでしょう。

【カリフォルニア料理レシピ】

カリフォルニアロール

大人気のカリフォルニアロールは、マグロとアボカドを入れるのが基本。さらに海苔は内側になるように巻き込むのが特徴です。

写真は、マグロ、アボカド、卵焼き、カニかまぼこを巻きました。海苔の上に酢飯を広げ、とびこを全体に散らします。その上にラップを敷き、巻きすを置いたら裏返します。
海苔の上に、マヨネーズをのせ、マグロ、アボカド、卵焼き、カニかまぼこを並べたら、ラップを巻き込まないようにして巻き上げます。

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