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日常会話に役立つイタリア語

石黒 秀嗣

レッスン9 「...がある」「...がいる」


ローマ:ボルゲーゼ公園の入り口(Roma, Villa Borghese - Ingresso)

レッスン9 「...がある」「...がいる」

英語を学習したとき、be動詞(I am, you are, he is, we are...)とhave動詞(I have, you have, he has, we have...)の人称変化を覚えたことと思います。英語では他の動詞の人称変化は基本的にはありませんでした。しかしイタリア語では、すべての動詞が人称ごとに語尾変化をします。「私はテレビを見る」、「マリアはテレビを見る」「私達はテレビを見る」と言う場合、日本語では動詞の「見る」は人称(主語にあたる部分)が変わっても「見る」という動詞は変化しません。しかしイタリア語では主語に合わせて動詞が変化します。 人称には一人称、二人称、三人称があり、それぞれ単数と複数があります。

【人称についての説明】

主語 単数 主語 複数
1人称 私は io 1人称 私たちは noi
2人称 君は tu 2人称 君たちは voi
あなたは Lei あなたたちは voi
3人称 彼は / 彼女は lui / lei 3人称 彼らは / 彼女たちは loro

 上の表にあるように2人称には、tu「君は」とLei「あなたは」の二つあります。イタリア語では、家族や友人に対しては親称のtuを使います。しかし初対面で親しくない人や目上の人に対しては敬称のLeiを使います。
これらの人称が単独で使われている場合はそれ程問題はないのですが、人称が混ざっている場合はどうなるのでしょうか!
例えば、「私とマリアは」(一人称複数)、「君とカルロは」(二人称複数)、「マリアとカルロは」(三人称複数)と言う場合です。「私」とか「君」が入っていればそれが軸となりますので、その人称の複数形となります。
次に、「これは...です」とか「あのレストランは...です」と言う場合、「これは」や「レストランは」何人称でしょうか!「これは」「あれは」は3人称です。

A.「...である、...(に)ある、いる」という表現を学びましょう

動詞には人称の変化と時制の変化がありますが、今回は、基本的な動詞のessere「...である、...(に)ある、いる」の現在形の人称変化を覚えましょう。

【essere「...である、...(に)ある、いる」の現在形の人称変化】

人称 単数 人称 複数
io(私は) sono noi(私たちは) siamo
tu(君は) sei voi(君たちは) siete
Lei(あなたは) è voi(あなたたちは) siete
lui(彼は) è loro(彼らは) sono
lei(彼女は) è loro(彼女らは) sono

注意 2人称単数の敬称「あなたは」の動詞の変化は、いつも3人称単数と同じです。「彼女は」のleiと「あなたは」Leiは綴りも発音も同じです。書くときは小文字と大文字で区別します。
日本語の動詞は変化しない代わりに常に主語をハッキリさせなければなりません。しかしイタリア語では動詞の変化が人称も表しているので、主語を強調する場合を除いて省略するのが普通です。
否定文を作るときは、nonを動詞の前に付けます。英語とは逆ですので注意して下さい。
会話文で使われている動詞essere「...である、...(に)ある、いる」は、三人称の単数形èと三人称の複数形sonoです。

  1. Che cosa è questo?(これは何ですか?)
    ケ コーザ エ クエスト
    È una rivista di Moda Italia.(これはイタリアのファッション雑誌です。)
    エ ウーナ リヴィスタ ディ モーダ イターリア
  2. Dove sono i miei occhiali?(私のメガネはどこですか?)
    ドーヴェ ソーノ イ ミエイ オッキアーリ
    Sono sulla scrivania.(机の上にあります。)
    ソーノ スルラ スクリヴァニーア
  3. (Io) Sono giapponese.(私は日本人です。)
    イーオ ソーノ ジャッポネーゼ
  4. Maria è italiana.(マリアはイタリア人です。)
    マリーア エ イタリアーナ
  5. Io e Maria siamo studenti.(私とマリーアは学生です。)
    イーオ エ マリーア シアーモ ストゥデンティ
  6. Tu e Carlo siete simpatici.(君とカルロは感じがいい。)
    トゥ エ カルロ シエーテ シンパーティチ
  7. Maria e Carlo sono allegri.(マリーアとカルロは陽気です。)
    マリーア エ カルロ ソーノ アッレグリ
  8. Hanako non è italiana.(花子はイタリア人ではありません。)
    ハナコ ノネ イタリアーナ
  9. Questo libro è interessante.(この本はおもしろい。)
    クエスト リーブロ エ インテレッサンテ
  10. Questi negozi non sono aperti.(これらのお店は開いていない。)
    クエスティ ネゴーツィ ノン ソーノ アペルティ

B.「...がある(いる)」という表現を学びましょう。

場所を表すci「そこに」と動詞essereの三人称を使って表します。
C'èは、cièが下記の母音字省略のためc'èとなっています。

C'è+単数の名詞
Ci sono+複数の名詞

  1. Che cosa c'è sul tavolo?(テーブルの上に何がありますか?)
    ケ コーザ チェ スル ターヴォロ
    Sul tavolo c'è una bottiglia di vino.(テーブルにはワインのボトル一本あります。)
    スル ターヴォロ チェ ウーナ ボッティリエ ディ ヴィーノ
  2. Quante sedie ci sono in classe?(教室には椅子はいくつありますか?)
    クアンテ セーディエ チ ソーノ イン クラッセ
    In classe ci sono venti sedie.(教室には椅子が20あります。)
    イン クラッセ チ ソーノ ヴェンティ セーディエ
  3. Che cosa c'è sul giornale di oggi?(今日の新聞には何がありますか?)
    ケ コーザ チェ スル ジョルナーレ ディ オッジ
    Ci sono delle brutte notizie.(いろいろ悪いニュースがあります。)
    チ ソーノ デルレ ブルッテ ノティツィエ
  4. Che cosa c'è al cinema?(映画は何をやっていますか?)
    ケ コーザ チェ アル チネマ
    C'è un film giapponese.(日本の映画をやっています。)
    チェ ウン フィルム ジャッポネーゼ
  5. Chi c'è in cucina?(台所に誰かいるの?)
    キ チェ イン クチーナ
    In cucina c'è la mamma.(台所にはママがいます。)
    イン クチーナ チェ ラ マンマ
  6. C'è una banca qui vicino?(この近くに銀行ありますか?)
    チェ ウーナ バンカ クイ ヴィチーノ
  7. Non c'è Maria in casa.(マリアは家にはいません。)
    ノン チェ マリーア イン クラッセ
  8. Ci sono molti piatti sulla tavola.(テーブルに沢山のお皿があります。)
    チ ソーノ モルティ ピアッティ スルラ ターヴォラ
  9. Non ci sono tante persone in teatro.(劇場には沢山の人がいません。)
    ノン チ ソーノ タンテ ペルソーネ イン テアトゥロ
  10. Ci sono ancora posti?(まだ席ありますか?)
    チ ソーノ アンコーラ ポスティ
    No, non c'è più.(いいえ、もうありません。)
    ノ ノン チェ ピュ

母音字省略(Elisione)

イタリア語では、母音が重なるのを嫌います。音の連絡を滑らかにするため、隣接する二つの母音がある場合、前の方の母音を省略し、省略記号(')アポストロフォを付けひとつにします。
c'è(ci + è)「...である、...(に)ある、いる」
l'amico(lo + amico)「友達」
l'arte(la + arte)「芸術」
senz'altro(senza + altro)「勿論」
l'aula(la + aula)「教室」
un'ora(una + ora)「1時間」
l'holo又はla + ho)「私は持っている」
anch'io(anche + io)「私も」


フィレンツェ:果物屋
(Firenze : Negozio di frutta)

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