文化講座
レッスン47 イタリア語の動詞について
その8 動詞の不定詞についてIV 前置詞+不定詞について
ウルビーノ:「風景」が描かれたワインピッチャー
Urbino, Brocca per vino, dipinta con un paesaggio sulla ceramica
石黒家所蔵
レッスン47 イタリア語の動詞について
その8 動詞の不定詞についてIV 前置詞+不定詞について
「レッスン44 イタリア語の動詞について その5 動詞の不定詞について I」では、「...(A)することを(B)...する」Aの動詞+Bの動詞と言うように2つの動詞を一緒に使う場合、2つの動詞を繋げるため、接着剤のような働きをする前置詞aまたはdiを動詞と動詞の間に入れることを学習しました。
前置詞aか前置詞diかは、Aの動詞によって決められています。辞書を引くと《a+定詞(inf.)...することを》または《di+不定詞(inf.)...することを》と書かれています。
Continua a piovere da due giorni e chissà quando smetterà.
(二日前から雨が降り続いているけど、いつ止むのでしょう!)
Appena smetterà di piovere, usciremo.
(雨が止みしだい、出掛けましょう!)
今回のレッスンでは、動詞の不定詞(原形)がda, per, con, inなどの前置詞の助けをかり前置詞+不定詞という形の慣用的表現についてまとめました。ここでは前置詞のそれぞれの働きよりも慣用的表現(熟語)として覚えることをお勧めします。
I. da+不定詞
- 「...するための」(目的、用途)
qualcosa da mangiare / bere
(何か食べるもの・飲むもの)
libro da leggere
(読む本)
camera da affittare
(貸部屋) - (結果)
Ho avuto un freddo da morire.
(死ぬほど寒かった) - (義務、状況)
Ho molto da fare.
(忙しいです=すべきことが沢山ある)
Mi viene da piangere.
(泣き出しそうだ) - (庇護):guardarsi, proteggersiなどと共に、定冠詞を伴って
Guardati bene dall'insistere.
(あまり固執しないように気をつけなさい)
慣用的表現
- avere da+不定詞(...しなければならない、...するはずだ)
Ho molto da fare oggi.
(今日は本当に忙しい)
Avevo da leggere molti documenti con cura.
(私はたくさんの書類を注意深く読まなければならなかった) - essere da+不定詞(...するほどである、...すべきである)
Sono tanto stanco da non capire più nulla.
(疲れすぎて、もう何がなんだか分からない) - tanto(così)... da+不定詞(するにはあまりにも...で)
Sono tanto stanco da non capire più nulla.
(疲れ過ぎて、もう何が何だか分からない)
Ero così stanco da non camminare.
(僕は歩けないほど疲れていました) - in modo da+不定詞(...するように)
Affrettatevi in modo da non arrivare in ritardo.
(君たちは遅刻しないように急ぎなさい) - c'è poco da+不定詞(...する場合〈どころ〉ではない、...することはほとんどない)
C'è poco da ridere (scherzare).
(笑っている〈冗談を言っている〉場合ではなかった)
C'è poco da dire su di quel signore.
(あの人に関しては文句の付けようがない) - difficile da+不定詞(するのが難しい)
È un problema difficile da risolvere.
(解決するのが難しい問題である) - essere lungo da (nel, a)+不定詞(...するのに時間がかかる)
Marco è lungo nel (da) mangiare.
(マルコは食事をするのが遅い) - non potere stare senza+不定詞(...せずにはいられない、...せずには生きられない)
Non può stare mezz'ora senza fumare.
(30分とタバコを吸わずにいられない)
II. per+不定詞
- 「...のために」(目的)
Si deve pagare in contanti per avere un forte sconto.
(すごい割引をしてもらうために現金で支払わなければなりません) - 「...で」(原因)
Ero stanco per aver corso troppo.
(走りすぎて疲れていた) - 「...して」(結果)
È tropo buono per offenderti.
(彼は人がいいから、君を怒らせたりはしない) - 「...としても」(譲歩)
Per gridar ch'io facessi, nessuno mi rispondeva.
(私がどんなに叫んでも、誰も答えてくれなかった) - 「...としては」(限定)
Per lavorare lavora.
(働くには働いている)
慣用的表現
- stare per+不定詞については、「レッスン46 定型文I」を参照して下さい。
- fare per+不定詞(...しようとする、ただ...するだけのことだ)
Non faccio per vantarmi.
(私は自慢しようとしているのではない)
Si fa (tanto) per scherzare.
(ただふざけているだけだ)
Non fa per dire.
(私は言っておきたい、ぜひ言わなければならない) - finire per+不定詞(最後には〈結局〉...してしまう)
Finirai per provare quel vestito che sta in vetrina.
(結局はショ-ウィンド-にあるあの服を試着することになるだろう) - Per piacere!(お願いです、どうか、すみませんが)
Mi passi il sale, per piacere!
(お願いです、塩を取って下さい) - avere fretta di+不定詞(急いで...する、早く...したい)
Avevo una gran fretta di partire.
(大急ぎで出発した) - Per così dire.(言わば、言ってみれば)
III. con+不定詞
- con+定冠詞+不定詞
「...するうちに」(時間)
Con leggere ci si istruisce.
(読書するうちに偉くなるものだ) - con+定冠詞+不定詞
「...することで」(手段)
Col litigare non otterrai niente.
(けんかしたって、何も得るものはないだろう)
慣用的表現
- coll'andare del tempo(時間が経つにつれて、次第に、少しずつ)
- con piacere(喜んで)
Accetto l'invito con piacere.
(ご招待喜んでお受けします)
Con piacere!は、紹介されたときのあいさつの会話で、Piacere!(初めまして、よろしく)に対して、同じようにPiacere!又はCon piacere!(よろしく)と返事を返します。
IV. in+不定詞(...するとき、...している間に)普通は前置詞に定冠詞を付けて使います。
慣用的表現
- in [nell' / sull']atto di+不定詞(...している最中に、...しようとしている時)
È stato sorpreso in atto di rubare.
(盗みの現場を押さえられた)
Lo raffigurò nell'atto di scrivere.
(彼が著述している姿を描いた)
Questa è una pittura nell'atto di dipingere.
(この絵は絵を描いている姿を描いた) - fare (l') atto di+不定詞(...するふりをする、...しそうな態度をする)
fare atto di sottomissione.
(恭順の態度を示す)
Nell'entrare in salotto, lo salutai.
(客間に入るときに私は彼にあいさつしました)
Nel parlargli mi accorsi che stava male.
(彼に話しかけているうちに、彼が具合いが悪いのに気付いた) - essere lungo nel+不定詞(...するのに時間がかかる)
Questa cucina è lungo nel cuocere.
(この料理は調理するのに時間がかかる)
Esercizio(練習問題)8. 空白に前置詞を入れて下さい。(答えは下にあります)
- Si prega①non distrubare, per favore!
「邪魔しないで下さい!」 - Mi pare②aver ragione.
「僕は自分が正しいと思う」 - C'è qualcosa di fresco③bere?
「何か冷たい飲み物ありますか?」 - Mario fa④uscire di casa.
「マリオはちょうど家を出るところです」 - ⑤gridare non otterrai mai nulla.
「声をだしても、何もあげないよ」
Esercizio 8. の答え
① di ② di ③ da ④ per ⑤ Col