文化講座
レッスン45 イタリア語の動詞について
その6 動詞の不定詞についてII
フィレンツェ、鉛板に彫られたボッティチェッリの「春」
Firenze, Tavoletta scolpita in piombo la primavera di Botticelli
石黒家所蔵
レッスン45 イタリア語の動詞について
その6 動詞の不定詞についてII
「...(A)することを(B)...する」Aの動詞+Bの動詞と言うように2つの動詞を一緒に使う場合、2つの動詞を繋げるため、接着剤のような働きをする前置詞aまたはdiを動詞と動詞の間に入れることを学習しました。
しかし、動詞によっては接着剤のような働きをする前置詞(aまたはdi)を必要としない動詞があります。前回はA.従属動詞の場合について学習しました。今回も引き続き2つの動詞の間に前置詞を必要としない場合について説明します。
B. 動詞piacereの場合:piace+動詞の不定詞(原形)
「~することが好きです」と言う日常会話でもよく使う表現です。「好きです」は常に三人称単数形piaceとなり、「~すること」は動詞の不定詞(原形)を直接取ります。
- Mi piace ascoltare la musica.
(私は音楽を聴くのが好きです) - Le piace viaggiare all'estero?
(あなたは海外旅行をするのがお好きですか?) - Ci piace leggere la lettura di buoni libri.
(私たちはよい本を読むのが好きです)
C. 使役動詞の場合:fare・lasciare+動詞の不定詞(原形)
fare+動詞の不定詞(原形)は「~させる」の意味になります。
lasciare+動詞の不定詞(原形)は「~するままにしておく、~させておく」の意味で使います。
- Faccio portare l'ombrello a mio padre.
(お父さんに傘を持ってきてもらう) - Mio nipote mi fa sempre leggere il libro illustrato.
(私の孫はいつも絵本を読ませます) - Quella notizia mi fa ridere di cuore.
(あのニュースは心の底から笑わせる) - Lasciamo studiare Mario in pace.
(私たちはマリオを静かに勉強させておきます) - Lascio fare come vuole.
(望むようにさせておく)
D. 知覚動詞の場合:知覚動詞+動詞の不定詞(原形)
sentire(聞く)、ascoltare(聴く)、vedere(見る)、guardare(見る、眺める)、udire(聞こえる)などのように知覚や感覚を表す動詞を使うとき、直接動詞の不定詞(原形)を従えます。
Sento suonare il pianoforte Maria.
(マリアがピアノを弾いているのが聞こえる)
この場合も二つの動詞(sentireとsuonare)との間に前置詞を付ける必要はありません。しかし二つの動詞の主語が異なることに注意しましょう。この場合sentireの主語は「私」ですが、suonareの主語は「マリア」です。もし「マリア」を強調したいときは、Sento che Maria suona il pianoforte.と関係代名詞を使った構文になります。知覚動詞の後ろに動詞の不定詞(原形)を持ってくると、その動詞の動きの内容や様子を生き生きと表現できます。構文も簡単ですのでしっかり覚えましょう。
- La mamma ascolta suonare il pianoforte sua figlia.
(お母さんは娘がピアノを弾いているのを聞いています) - Vedo gli uccelli spaziare nel cielo azzurro.
(鳥たちが青空の中を自由にはばたいているのが見える) - Sento Maria cantare spesso nel bagno.
(マリアが風呂で歌っているのをよく聞きます)
E. 動詞preferireの場合:preferire+動詞の不定詞(原形)
preferireという他動詞は、「~〈の方を〉好む、選ぶ」の意味で、Preferisco un caffè.(コーヒーがいいです)とか、Preferisco la musica alla pittura.(絵より音楽が好きです)のように使います。
「~する方がいい」とか「~するより~する方を好む」と言う場合、動詞の不定詞(原形)を直接従えます。
- Preferisco mangiare a casa.
(家で食べる方が好きです) - Con il carne si preferisce prendere il vino rosso.
(肉料理なら赤ワインの方を飲む) - Marco preferisce guardare la TV a casa che vedere il film al cinema.
(マルコは映画館で映画を見るより、家でテレビを見る方が好きです)
F. 動詞desiderareの場合:desiderare+動詞の原形
desiderareという他動詞も「~を欲する、切望する」の意味で、Desidero un bicchiere d'acqua.(水を一杯欲しい)とかDesidero il tuo aiuto.(君の助けが欲しい)などのように動詞volereと同じように使います。
「~することを望む、~することを希望する」と言う場合も、動詞の不定詞(原形)を直接従えます。
- Desidero star solo(sola).
(ひとりで居たい) - Angela desidera restare ancora un anno in Giappone.
(アンジェラはあと一年日本に留まりたい) - Noi desideriamo vederti prima di partire.
(私たちは出発する前に君に会いたい)
Esercizio(練習問題)6. 空白に適当な動詞を入れて下さい。(答えは下にあります)
- Non mi piace ① in piscina.
「僕はプールで泳ぐのが好きでない」 - Mi faccia ② quella gonna in vetrina!
「ショーウィンドーにあるあのスカートを見せて下さい!」 - Guardo ③ a calcio mio figlio.
「私の息子がサッカーをしているのを眺めています」 - Preferiamo ④ in macchina per fare le vacanze.
「私たちはバカンスには車で行きたい」 - ⑤ e non ⑤ , questo è problema.
「あるかないか、それが問題だ!」(シェークスピアの名言)
G. 非人称動詞の場合:非人称動詞(3人称単数形)+動詞の不定詞(原形)
「雨が降る(piovere)」とか「雪が降る(nevicare)」など天候を表す動詞は、非人称的に使われます。動詞の変化はつねに3人称単数形でpiove, nevicaとなります。
また動詞の意味するところから非人称的に使われる動詞もあります。例えば、「~が起きる」とか「~が必要である」のように言う場合です。次に来る動詞は不定詞(原形)で変化する必要がありません。大変よく使う構文ですのでしっかり覚えましょう。
代表的な非人称動詞には、
「~が起こる」(accadere, succedere, capitare, avvenire)、「~は必要である」(bisognare, occorrere)、「~のように思われる」(sembrare, parere)、「~で十分である」(bastare)、「~した方がよい」(convenire)などがあります。
- Non conviene aspettare più.
(もうこれ以上待たないほうがいい) - Basta chiedere per capire.
(理解するためには人に聞けばよい) - Occorre far presto.
(急ぐ必要がある) - Bisogna andare alla posta a ritirare un pacco.
(小包を引き取りに郵便局に行く必要がある) - Mi pare sognare sempre quel giovane.
(あの若者はいつも夢を見ているように私には思える)注意:Mi pare di sognare.は、「自分が夢を見ているようだ」の意味となります。例文では非人称的表現で、sognare「夢を見る」の主語は後ろに置かれているquel giovane「あの若者」である。
Esercizio 6. の答え
① nuotare ② vedere ③ giocare ④ andare ⑤ essere