文化講座
レッスン53 イタリア語の動詞について
その14 動詞+代名詞VI 中性代名詞「lo」について
パドヴァ:版画、パドヴァ大学(創立800年)、パラッツォ ボ
Padova, Incisione cromolitografica, Il cortile antico dell'università, Palazzo Bo, dalla fondatazione, per l'ottocentenario(1222-2022)
石黒家所蔵
レッスン53 イタリア語の動詞について
その14 動詞+代名詞VI 中性代名詞「lo」について
VII 中性代名詞「lo」について
■人称代名詞(直接目的語)
直接目的語(~を)を表す代名詞で説明したように、3人称は、人以外に物にも使いました。その場合は、指し示す名詞の性と数に応じて使い分けます。
loは「彼を」「それを(男性名詞単数)」、laは「彼女を」「それを(女性名詞単数)」を意味します。近過去のような複合時制の過去分詞の語尾に注意してください。
(a) Compro il giornale e lo leggo.
(新聞を買い、それを読みます)
(b) Ho comprato il giornale e l'ho(=lo ho) letto.
(新聞を買って読みました)
(c) Compro una mela e la mangio.
(リンゴひとつ買い、それを食べます)
(d) Ho comprato una mela e l'ho(=la ho) mangiata.
(リンゴをひとつ買い、それを食べました)
上の例文では、L'ho(=lo ho又はla ho)は同じですが、過去分詞の語尾が(b)はletto(男性形)ですので、lo(それを=新聞)であり、(d)はmangiata(女性形)ですので、la(それを=リンゴ)となります。
≪avere+過去分詞≫型の近過去でも、直接目的語(lo, la, li, le)が使われるときに限り、その性と数に過去分詞の語尾を一致させなければなりません。
では複数形のli(彼ら)、le(彼女ら)を使ったらどうなるでしょうか?
(e) Li ho incontrati al bar.
(私はバールで彼らに会いました)
(f) Le ho incontrate al bar.
(私はバールで彼女らに会いました)
li, leのように複数形の場合は、母音字省略をしないので、Li ho又はle hoと離して下さい。過去分詞の語尾は直接目的語と性数一致しています。過去分詞の語尾を見れば、直接目的語(~を)が男性か女性か、単数か複数かが分かります。
複合時制における人称代名詞の性数一致は、直接目的語の時にだけに限られます。
■直接目的語「lo」「la」を使った代名詞の例文
- Maria studia il giapponese e lo parla bene.
(マリアは日本語を勉強しています。そしてそれを上手く話します) - Io ti presento a Lucia, se non la ancora conosci.
(私は君をルチアに紹介します。もしまだ彼女を知らないなら) - Non mangio spesso la pasta, perché non so cucinare, ma se la prepara mia madre, la mangio volentieri.
(私は料理が出来ないのでパスタ料理をあまり食べません。でも母がそれを作ってくれるならそれを喜んで食べます)
■中性代名詞「lo」について
1. 前に述べられた文章の内容を受けて「そのことを(cioè)」「そのようなこと(tale)」の意味で用いられます。性と無関係に、loで受けるため「中性代名詞」とも言います。
例文:
- Non lo so.
(僕はそのことを知らない) - Lo sapevo che saresti venuto!
(私はあなたが来ることを知っていた) - Non lo fare.
(そんなことをするな!) - Vuoi uscire con me? Sì, lo voglio.
(君は僕と出掛けたいの?ええ、そうしたい)
2. 前に述べられた名詞や形容詞を受けてessereと共に使い、性、数に関係なく「そうである」(=essere tale[così])の意味で使います。
例文:
- Pare malato ma non lo è.
(彼は病人のように見えるがそうではない) - È morto quel vecchio? Purtroppo, non lo è ancora.
(あのお年寄りは死んだのかい? それがねえ、まだなんです。) - Mi pareva bello, ma vedo che non lo è.
(私には美しいと思ったのだが、そうではないですね) - Voi siete sposati ma noi non lo siamo.
(君たちは結婚しているけれど、私たちはしていない) - Saranno cinque giorni? Lo saranno.
(5日間ぐらいかしら?そうだろう) - Ero una ragazza che parlava molto, ma non lo sono più.
(私は口数の多い女の子でしたが、今ではそうでありません)
3. sapere・capire・sentireなど認識を表す動詞の前に置かれ、後にくる目的節を繰り返し強調する働きを持つ。
例文:
- Lo sappiamo bene che sei stato sfortunato.
(私たちは君が不運だったことはよく知っています) - Lo sapevo che saresti venuto!
(私は君が来ることを知っていたんだよ!)
Esercizio(練習問題)14. 動詞を変化させ文章を作って下さい。
- (incontrare) Se incontro Mario,①alla festa.
(もしマリオに会ったら、彼をパーティに招待します) - (incontrare)②al bar.
(私はバールで彼女に会いました) - (andare a prendere) A che ora vieni a prendere Maria?③verso alle dieci.
(何時にマリアを迎えに来てくれる?10時頃に彼女を迎えに行きます) - (dire) Bianca non viene,④io.
(ビアンカは来やしないよ!君にそれを言うよ、この僕が!) - (essere) Sembra un galantuomo, ma⑤.
(彼は紳士に見えるが、そうではないのだ!)
Esercizio 14. の答え
① lo invito ② L'ho incontrata ③ Vado a prenderla
④ te lo dico ⑤ non lo è