文化講座
レッスン29 siの用法について その1
ロンバルディア州:コモの街
(Lombardia: Città di Como)
レッスン29
siの用法について その1
前回はsìの用法についてまとめました。発音は同じですが、iの上にアクセント記号があるsìとアクセント記号がないsiがあります。siの用法には、非人称のsi、再帰代名詞のsi、受け身のsiなどいろいろな用法があります。
動詞は人称によって変化しますので、イタリア語では主語の人称が重要な問題となります。しかし特定な主語でなく、一般の〈ひと〉全体について話す場合、非人称のsiを使って表現します。
A. 天候などを表す非人称動詞には以下の動詞があります。
piovere(雨が降る)・nevicare(雪が降る)・tuonare(雷が鳴る)・lampeggiare(稲妻が光る)・brinare(霜が降りる)・grandinare(あられ・ひょうが降る)・albeggiare(夜が明ける)・annottare(夜になる)・imbrunire(夕暮れになる)など
- Al mio paese d'inverno nevica molto.
(私の郷土では、冬雪が随分降ります) - Piove spesso in questi giorni.
(最近、よく雨が降ります)
【fareによる表現の場合:fare~・farsi giorno(夜になる)・farsi buio(暗くなる)】
- Fa bel(brutto・cattivo) tempo oggi!
(今日は良い(悪い・いやな)天気だ) - D'inverno fa notte presto.
(冬は、早く夜になる) - Fa freddo(caldo)!
(寒い・暑い) - Questa estate ha fatto molto caldo.
(この夏は大変暑かったです) - Si è fatto tardi.
(遅くなってしまった) - Si è fatto giorno.
(朝になった) - È piovuto (Ha piovuto) tutta la notte.
(一晩中雨が降った)
【注意】天候などを表す非人称動詞で近過去を作るとき、基本的には助動詞essereを使いますが、avereでも使うことが出来ます。
B. 非人称動詞
動詞の意味から非人称動詞として使われることの多い動詞があります。以下のような動詞があります。
またこれらの動詞は、非人称動詞の三人称単数+不定詞(又はche節では動詞が接続法をとるので注意して下さい。)
bisognare・occorrere(~は必要である)
accadere・avvenire・succedere・capitare(~が起こる・~ということがある)
sembrare・parere(~の様に思われる・~にみえる)
bastare(~で十分である)・convenire(~した方が良い)・importare(~重要である)・risultare(~の結果として生じる)など
- Quando si va a Roma, bisogna buttare una monetina nella Fontana di Trevi.
(ローマへ行ったら、トレヴィの泉にコインを投げる必要があります) - Occore andare alla posta a ritirare un pacco(che io vada...).
(小包を引き取りに郵便局に行く必要がある) - Ci basta prendere una tazza di caffè la mattina.
(我々にとって、朝は一杯のコーヒーを飲むだけで十分です) - Sembra che tutto sia già finito.
(すべてはもう終わったようだ)
非人称動詞を使って近過去を作るときは、助動詞essereを使います。しかしbisognare(~は必要である)稀にavereを取ることがあります。
- Mi sembra che lui dica bugie.
(彼は僕に嘘を言っているようにみえる)
→ Mi è sembrato che lui dicessse bugie.
(彼は僕に嘘を言っているようにみえた) - Bisogna fare presto.
(早くしなければいけない)
→ È (ha) bisognato fare presto.
(早くしなければいけなかった) - Mi è bisognato partire presto.
(僕には早く出発する必要があった)
C. 非人称構文
È+形容詞(副詞)+不定詞(又はche節では動詞が接続法をとるので注意)
形容詞には、
facile(容易である)・difficile(難しい)・possibile(可能である)・impossibile(不可能である)・probabile(ありうる)・improbabile(ありえない)・bello(素晴らしい)・brutto(よくない)・male(悪い)・giusto(正しい)・ingiusto(正しくない)・necessario(必要である)・utile(有益である)・inutile(無益である)・naturale(当然~である)・certo(確かである)・chiaro(明らかである)などがあります。
副詞には、
bene(よい)・meglio(とてもよい)・male(悪い)・peggio(とても悪い)などがあります。
- È necessario spedire immediatamente i documenti(che Lei spedisca...).
(直ぐに書類を送る必要がある) - È difficile parlare bene l'italiano in sei mesi (che voi parliate...)
(6ヶ月でイタリア語をうまく話すのは難しい) - È giusto che tu dica così.
(君がそう言うのが正しい)
→ È stato giusto che tu dicessi così.
(君がそう言うのが正しかった)
D. 非人称のsiを使って表す。
特定な主語でなく、一般の〈ひと〉全体について話す場合、非人称のsiを使って表現します。
- In Italia si pranza di solito all'una e mezzo.
(イタリアでは普通1時半に昼食を取る) - Su questo letto si dorme bene.
(このベッドではよく眠れる) - Si guadagna di più, ma si spende anche di più.
(ひとはお金を稼ぐと、それ以上使う) - Prima in questo paese si viveva meglio.
(昔、この故郷ではもっと良い生活をしていた) - Con questa macchina si può correre molto.
(この車では、もっと速く走ることが出来る)
E. 再帰動詞の非人称化
再帰代名詞(mi, ti, si, ci, vi, si)には、3人称単数形と複数形に再帰代名詞のsiがあり、直接補語として「自分(たち)を」(si)または間接補語として「自分(たち)に」(si)を使う三人称の再帰動詞を使って非人称化することが出来ます。
非人称のsiは再帰代名詞siの前でciとなる。すなわちci siとなります。
- Ci si alza e ci si lava la faccia la mattina.
(朝は起きて、顔を洗う) - Dopo una giornata faticosa ci si riposa volentieri.
(つらい日の後は、喜んで休む) - A viaggiare in treno non ci si stanca come quando si guida.
(列車で旅行するときは、車で運転するときのように疲れない) - Dopo tre mesi di studio di una lingua ci si esprime abbastanza bene.
(3ヶ月間、ある言葉を勉強した後、かなりうまく表現できる) - A che età ci si sposa di solito nel Suo paese?
(あなたのお国では何歳の時に結婚しますか) - Se si mangia troppo ed in fretta, ci si ingrassa e ci si ammala.
(食べ過ぎ、早食いは、太ったり病気になったりします) - Quando uno sta bene, ci si sente in forma per lavorare.
(人は調子の良いときは、仕事にもげんきです) - Quando un lungo sonno, ci si sente riposati.
(長い睡眠の後、くつろぎを感じる)
油絵 石黒秀嗣
ポンペイの二人の若者
(Pompei: Una ritratta di due giovani di Pompei)