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日常会話に役立つイタリア語

石黒 秀嗣

レッスン44 イタリア語の動詞について
その5 動詞の不定詞について I


楽器を奏でるケルビム
Puttini Cherubini angeli suonatori, sculture in legno
石黒家所蔵

レッスン44 イタリア語の動詞について
その5 動詞の不定詞について I

イタリア語の動詞は、変化(活用)することによってその動詞の人称や時制などを表します。その動詞の意味を調べるとき、辞書に載っている動詞の形は「動詞の原形」で、文法では「不定詞」と呼ばれるものです。不定詞は(1)-are動詞(mangiare, parlareなど)、(2)-ere動詞(prendere, leggereなど)そして(3)-ire動詞(partire, capireなど)の3つに分類されます。学習上、動詞はこの不定詞の形で覚えます。
ではこの不定詞(動詞の原形)を変化させずにそのまま使うことが出来るのでしょうか!

■ 不定詞の名詞的用法

不定詞は名詞として扱われます。mangiare (il mangiare)は「食べること」、bere(il bere)は「飲むこと」の意味で使います。
このような名詞的用法は、日常会話や諺などでよく使います。

  1. Vietato(È vietato) fumare.
    (禁煙)
  2. Vietato calpestare l'erba.
    (芝生に立ち入るべからず)
  3. Leggere aiuta la memoria.
    (読書は記憶に役立つ)
  4. Fumare fa male.
    (喫煙は体に悪い)
  5. Il troppo bere nuoce alla salute.
    (過度の飲酒は体に悪い)
  6. Il mangiare sarà pronto alle sette.
    (食事は7時には準備が出来ているでしょう)
  7. Fidarsi è bene, non fidarsi è meglio.
    (諺:信じるはよし、信じないのはもっとよい)
  8. Al calare del sole fa freddo.
    (太陽が沈むと寒くなる)
  9. Altra cosa è il dire, altra il fare.
    (諺:言うとするとは大違い)

また会話の流れのなかで、どう言ってよいか一瞬詰まったときによく使います。

  1. come dire
    (どうかなあ?)
  2. Uhm, non so cosa dire.
    (うーん、)何と言ったらいいか!

■ 否定を表す命令法

「...しないように」という否定を表す命令法は、
2人称単数に対する場合だけ、《non+動詞の不定詞(原形)》にします。

例:
Non entrare!(中に入るな!)
Non fumare!(タバコを吸うな!)
Non parlare!(喋るな!)
Non andare!(行くな!)
Non bere troppo!(飲み過ぎるな!)
Non distrubare, per favore!(お願いだから、邪魔しないで下さい!)

また再帰代名詞・人称代名詞がかかるときは、《non》の後に置くか、動詞の不定詞(原形)の語尾の《-e》を省いて、直接付けます。

例:
Non ti preoccupare! = Non preoccuparti!(心配しないで!)

■ 「...(A)することを(B)...する」

Aの動詞Bの動詞と言うように2つの動詞を一緒に使うことがあると思います。Aの動詞は人称変化しますが、Bの動詞は不定詞(原形)のままで変化しません。しかし2つの動詞を繋げるため、接着剤のような働きをする前置詞aまたはdiを動詞と動詞の間に入れます。前置詞は前の動詞Aによって決められています。辞書を引くと《a+不定詞(inf.)...することを》または《di+不定詞(inf.)...することを》と書かれています。

di+動詞の原形(不定詞)の場合]
finire di~(終える)
decidere di~(決める)
pensare di~(思う)
chiedere di~(求める・要求する)
permettere di~(許す)
dimostrare di~(示す)
dimenticarsi di~(忘れる)
immaginare di~(想像する)
affermare di~(断言する)
sperare di~(望む、期待する)

a+動詞の原形(不定詞)の場合]
cominciare a~(始める)
continuare a~(続ける)
iniziare a~(始める・開始する)
provare a~(試す)
riuscire a~(成功する・できる)
convincere a~(説き伏せる)
abituarsi a~(慣れる)
accennare a~(ふりをする)
costringere a~(むりに...させる)
provvedere a~(備える)

【例文】

  1. Cominciamo a mangiare alle 7.
    (私たちは7時に食べ始めます)
  2. Tutti finiscono di lavorare alle 5.
    (みんなは5時に仕事をし終えます)
  3. Penso di leggere quel libro.
    (あの本を読もうと思っています)
  4. I tuoi genitori non ti permettono di viaggiare all'estero.
    (君の両親は海外旅行に行くことを認めない)
  5. Imparo a guidare la macchina.
    (僕は車の運転を学びます)
  6. Mi chiedono di presentare il mio passaporto.
    (彼らは私にパスポートの提出を求めています)
  7. Fino a quando continuate a bere?
    (いつまで飲み続けるのですか?)
  8. Abbiamo continuato a parlare tutta la sera.
    (私たちは一晩中話し続けた)
  9. Mi sono abituato a studiare di notte.
    (私は夜中に勉強するのに慣れました)
  10. Maria ha deciso di sposarsi con un giapponese.
    (マリアは日本の人と結婚することを決心しました)

Esercizio(練習問題)5. 空白に前置詞aまたはdiを入れて下さい。(答えは下にあります。)

  1. Ti prego ascoltarmi.
    「どうか僕の話を聞いてくれ」
  2. Andiamo fare le spese in centro.
    「町に買い物に行きましょう」
  3. Devi smettere fumare per la tua salute.
    「君は自分の健康のためタバコを吸うのを止めるべきだ」
  4. Lucia ha imparato leggere e scrivere in giapponese.
    「ルチアは日本語で読み書きを習った」
  5. Cercheremo far presto possibile.
    「出来るだけ早くするように努力しましょう」

しかし、動詞によっては接着剤のような働きをする前置詞を必要としない動詞があります。

A. 従属動詞の場合:

動詞の原形 dovere
(...しなければならない)
potere
(...できる)
volere
(...したい)
sapere
(...できる)
io(私は) devo posso voglio so
tu(君は) devi puoi vuoi sai
lui(彼は)・lei(彼女は)
Lei(あなたは)
deve può vuole sa
noi(私たちは) dobbiamo possiamo vogliamo sappiamo
voi(君たちは)
(あなたたちは)
dovete potete volete sapete
loro(彼らは)
(彼女らは)
devono possono vogliono sanno

注意:potereの「出来る」は許可や認容などの意味です。一方、sapereの「出来る」は、sapereはもともと「知る」を意味する動詞で、従属動詞として使う場合は、「運転できる」「泳げる」「(楽器など)を弾ける」など「(学習・経験によって)...出来る」の意味で使います。

英語では助動詞(must, can want)と呼ばれるものです。イタリア語の助動詞は、essereavereの2つです。従属動詞は、次に不定詞(動詞の原形)を直接従える動詞です。上の表にあるように不規則に変化する動詞ですが、日常会話でもよく使う動詞ですのでしっかり覚えましょう。

dovereの例文:(...しなければならない; ...するはずだ; ...にちがいない)

  1. Devo prenotare il posto.
    (席を予約しなければならない)
  2. Anna deve tornare a casa presto.
    (アンナは早く家に帰らなければならない)
  3. Devono arrivare qui verso sera.
    (彼らは夕方にここに着くはずだ)
  4. Deve costare molto questa giacca.
    (この上着は高いにちがいない)
  5. Gli studenti devono studiare molto per l'esame.
    (学生たちは試験のためよく勉強しなければならない)

potereの例文:(...出来る; ...してよい; ...かもしれない)

  1. Possiamo partire subito.
    (私たちは直ぐに出発できます)
  2. Può chiudere la porta, per favore!
    (お願いだからドアーを閉めていただけますか!)
  3. Mi può ripetere ancora?
    (もう一度繰り返していただけますか?)
  4. Posso fumare qui?
    (ここでタバコを吸ってもよろしいですか?)
  5. Può essere vero.
    (それは本当かもしれない)

volereの例文:(...望む; ...したい)

  1. Voglio mangiare la pizza napolitana.
    (ナポリのピッツァを食べたい)
  2. Vuoi uscire con me stasera?
    (今夜一緒に出掛けませんか?)
  3. Vogliamo vedere la partita di calcio alla TV.
    (サッカーの試合をテレビで観戦したい)
  4. Luigi vuole leggere l'ultimo libro di quel scrittore.
    (ルイージはあの作家の新作を読みたい)
  5. Voglio passare le vacanze in montagna.
    (バカンスを山ですごしたい)

sapereの例文:(出来る)

  1. So parlare italiano.
    (イタリア語を話すことが出来ます)
  2. Mario sa guidare bene la macchina.
    (マリオは車をうまく運転できます)
  3. Sanno tradurre dal giapponese all'italiano.
    (彼らは日本語からイタリア語に訳すことが出来ます)
  4. Andrea sa suonare bene il violino.
    (アンドレアはヴァイオリンをうまく弾くことが出来ます)
  5. Non sappiamo giocare a tennis.
    (私たちはテニスをすることが出来ません)

Esercizio 5. の答え
diadiadi

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