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日常会話に役立つイタリア語

石黒 秀嗣

レッスン37 イタリア語のことわざ その4


ポンペイ:ファウノのブロンズ像 踊るサテュロス(レプリカ)
Pompei / Una Statua in Bronzo a Casa del Fauno (Replica)
石黒家所蔵

レッスン37 イタリア語のことわざ
その4 ことわざA~E

「ことわざ(proverbio)」の第1回は、ワインに関係する「ことわざ」について、第2回は、イヌとネコに関係する「ことわざ」について、第3回は恋愛に関係する「ことわざ」についてテーマごとにまとめてみました。今回からはアルファベット順に「ことわざ」を整理していきたいと思います。イタリア語の「ことわざ」は、難しい言葉や文章で作られてはおらず、その殆どが簡単な日常的な言葉から作られています。日常会話の中で「ことわざ」を使うのは難しいとは思いますが、文章は殆どの場合シンプルで分かりやすいイタリア語だと思います。ここではイタリア語の学習という意味で分析を加えながらわかりやすく説明します。またこのような「ことわざ」が生まれてくる文化的背景なども楽しんで下さい。

【A】

1. L'abito non fa il monaco.(人は見かけによらぬもの):修道衣を着ていても修道士とはいえない。

2. A buon intenditore poche parole.(物わかりのいい人に言葉はいらない):intenditore「目きき、通、鑑定人」intenditore di vini「ワイン通」

3. Acqua passata non macina più.(覆水盆にかえらず):イタリア語では、過ぎ去った水はもう粉を挽かない」という意味。一度起きてしまったことは二度と元には戻らないという意味。

4. Al bisogno si conosce l'amico.(まさかの時の友こそ真の友):al bisogno「必要の場合には」、si conosce「...がわかる」。別のことわざにDal frutto si conosce l'albero.(実がなって初めて木が分かる)があります。結果によってその価値が決まるという意味です。

5. L'apparenza inganna.(外見は当てにならない):apparenza「外見、見かけ、体裁」。in[all'] apparenza「外見は、うわべは」という表現はよく使うので一緒に覚えましょう。

【B】

6. Batti il ferro quando è caldo.(鉄は熱いうちに打て):Bisogna battere il ferro quado(finché) è caldo.とも言います。日本語でも同じであり、鉄は、熱して柔らかいうちに鍛えよという意味で、ひとは柔軟性のある若いうちに鍛えることが大事であるという意味。

7. Le bugie hanno le gambe corte.(嘘はじきにばれる):イタリア語では、「嘘は短い足を持っている」、すなわち足が短くて遠くまで行かないうちに嘘がばれてしまうという意味。bugia「嘘、いつわり」

【C】

8. Le chiacchiere non fanno farina.(言うだけではらちがあかない):イタリア語では「おしゃべりでは粉は作れない」という意味。
chiacchierare「おしゃべりをする」という動詞はよく使うので覚えましょう。ここでは名詞chiacchiera「おしゃべり」の複数形で使っています。

9. Chi ben comincia è all metà dell'opera.(何事も最初が肝心):同じようなことわざにIn tutte le cose è importante l'inizioがあります。始めよければ事は半ば、出来たも同然ということでしょう。
イタリア語のことわざには、chi...「...する者(人)は...である」という言い方をすることわざが多くあります。そのいくつかを以下に紹介しましょう。

10. Chi dorme non piglia pesci.(怠け者には成功はおぼつかない):イタリア語では「眠っていては魚は捕れない」と言います。pigliare「取る、つかむ」

11. Chi ha tempo non aspetti tempo.(物事は出来るときにやれ!思い立ったが吉日):「時間がある者は、次の時間を当てにするな!」今日できることは、明日に延ばすな!という意味。

12. Chi tardi arriva male alloggia.(早い者勝ち):イタリア語では「着くのが遅いと悪い宿しかない」という意味。

13. Chi troppo vuole, nulla stringe.(二兎を追う者は一兎をも得ず):stringere「締め付ける、握りしめる、(人)と握手する、(人)を抱きしめる」よく使う動詞です。ここでは「あまり欲張ると、何もつかめない」という意味。

14. Chi mena per primo mena due volte.(先手必勝):menare「連れて行く、過ごす」などの意味がありますが、ここでは「(暴力を)ふるう、殴る」の意味で使っています。menare un colpo(un ceffone)「殴打(平手打ち)を食らわせる」という表現があります。

15. Chi vivrà vedrà.(時が来ればわかる):長生きすれば様々の体験をするものだ!vivràvivere「生きる」、vedràvedere「見る、...が見える」の直説法の未来形です。

16. Chi si pasce di speranza muor di fame.(夢を糧にする者は、餓え死にする):pascere「(家畜などが生草を)食べる」、pascersi di...「糧とする」理想ばかりを追い求めては生きていけない。

17. Chi va con lo zoppo impara a zoppicare.(朱に交われば赤くなる):イタリア語では「足を引きずって歩く者と一緒にいれば、足を引きずって歩くことを学ぶ」と言います。

18. Chi non ha testa abbia gambe.(思慮のない者は足で走り回るがよい):abbiaavereの命令法現在3人称単数形です。

19. Chi non lavora non mangia.(働かざる者食うべからず)

【D】

20. Dimmi con chi vai e ti dirò chi sei.(類は友を呼ぶ):つき合う人を見るだけで、その人となりがわかる。似た表現にDimmi con chi vai e ti dirò che fai.「つき合う人を見るだけで、どんな人生を送るかがわかる」ということわざもあります。

21. Dal frutto si conosce l'albero.(実によって木を知る):聖書の教えから学ぶことわざです。「すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ...」(マタイによる福音書7章)イタリア語では「実からその木がわかる」という意味です。si conosceはここでは「わかる」という意味です。すなわち実がなって初めてその木がわかるということ。結果によってその価値が決まるという意味です。

22. Le disgrazie non vengono mai sole.(一難去ってまた一難):Le disgrazie arrivano mai soleとか、Una disgrazia tira l'altra.とも言います。「悪いことは重なる」とか「不幸は一度では収まらない」の意味です。

【E】

23. Gli estremi si toccano.(両極端は相通じる):estremoesterno「外側の、外部の」の絶対最上級で「末端の、最後の、極度の」などの意味で使います。interno「内側の、内部の」の絶対最上級がìntimoです。
limite estremo「限界」、Estremo Oriente「極東、東アジア諸国」、idee estreme「過激な考え方」、amico intimo「親友」

24. A mali estremi, estremi rimedi.(毒薬変じて薬となる):毒をもって毒を制すること。イタリア語では「ひどい病気には思い切った処置」が必要であると言っている。rimedio「治療(法)、薬」「対策、救済措置(手段)」を意味します。

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