文化講座
レッスン41 イタリア語の動詞について
その2 動詞の種類と活用について
ヴァチカン市国:「キリスト誕生」ビザンティン時代の象牙細工
(Città del Vaticano / Natività, Tavoletta d'avorio del secolo X e XI bizantino, riproduzione dei Musei Vaticana)
レッスン41 イタリア語の動詞について
その2 動詞の種類と活用について
I. 動詞の種類について
イタリア語の動詞を辞書で引くと、動詞の横に他動詞または自動詞と書かれています。
- 他動詞(verbo transitivo)は、日本語で「...を」という目的語をとる動詞です。例えば「スパゲッティを食べる(mangiare gli spaghetti)」とか「雑誌を読む(leggere una rivista)」と言うように動詞が直接「...を」という目的語(直接目的語)をとる動詞を言います。
- 自動詞(verbo intransitivo)は、目的語をとらなくても動詞だけでその働きとか状態などを表す動詞を言います。例えば「よく寝る(dormire bene)」とか「家にいる(rimanere a casa)」というように動詞には目的語の必要はなく、動詞自身で意味が成り立つ動詞を言います。
- 再起動詞(verbi riflessivo)は、他動詞の変形したひとつで、主語の行為が目的語に及ぶのでなく、主語自身に及ぶ動詞をいいます。
イタリア語には同じ動詞でも、他動詞のようにその行為が他に(外に)向かっている場合と、再起動詞のように自分自身に向かっている場合とを分けて使います。
例えば、「洗う(lavare)」という他動詞の場合、「自分の犬を洗う(lavo il mio cane)」は、「自分の犬を」が洗うの対象であり、「車を洗う(lavare la macchina)」も「食器を洗う」(lavare i piatti)」も同じ使い方をします。しかし「自分の手(顔・体など)を洗う」という場合はどうでしょうか!洗うという行為が自分自身に向かっている場合は、「自分自身に」または「自分自身を」にあたる代名詞と一緒に再起動詞を使って「私は手を洗う(mi lavo le mani)」と言う表現になります。
再起動詞は、常に再帰代名詞(mi・ti・si・ci・vi・si)を伴って使います。再起動詞をイタリア語では、verbo riflessivoと言い、「反射する(動詞)」を意味する言葉が使われています。すなわちその動詞の行為が、行為者自身に反射して戻ってくるような動詞を言います。
II. 動詞の活用について
イタリア語の動詞は人称や時制によっていろいろと活用(変化)します。
その変化には単純時制と複合時制の2つがあります。
- 単純時制:動詞の語尾変化で表すもの。現在形、半過去形、未来形など
- 複合時制:下の表にあるように、《助動詞(essere・avere)+過去分詞》で表します。
イタリア語の助動詞にはavereとessereの2つあります。どちらの助動詞を取るかが問題となります。助動詞avereをとる場合: すべての他動詞と、大半の自動詞 助動詞essereをとる場合: 一部の自動詞で、「行く(andare)」、「出発する(partire)」、「帰る(tornare)」、「~になる(diventare)」、「留まる(restare)」、「~である、いる、ある(stare)」など移動や状態を表す動詞
再起動詞の場合もessereを取ります。過去分詞の作り方は、 動詞の不定詞(原形)の語尾を操作して作ります。基本的には~are動詞、~ere動詞、~ire動詞の語尾を、-ato, -uto, -itoとすれば出来ます。
例えば、mangiare(食べる)→mangiato、sapere(知っている)→saputo、capire(分かる)→capitoのように過去分詞を作ります。
単純時制と複合時制の関係
話法 | 単純時制 | 複合時制(作り方) |
---|---|---|
直説法 | 現在 半過去 遠過去 単純未来 |
近過去(助動詞の現在+過去分詞) 大過去(助動詞の半過去+過去分詞) 先立過去(助動詞の遠過去+過去分詞) 先立未来(助動詞の単純未来+過去分詞) |
接続法 | 現在 半過去 |
過去(助動詞の接続法現在+過去分詞) 大過去(助動詞の接続法半過去+過去分詞) |
条件法 | 現在 | 過去(助動詞の条件法現在+過去分詞) |
上の表でも分かるように、単純時制と複合時制は密接な関係を持っています。
複合時制は単純時制の完了形と考えることが出来ます。「大過去」は《単純時制の助動詞半過去+過去分詞》の形となっているので「半過去完了」とも言えます。同様に「先立過去」は「遠過去完了」、「先立未来」は「未来完了」と考えれば、複合時制の作り方は簡単で、essereとavereの単純時制の活用を覚えれば簡単に作ることが出来ます
例文(近過去の場合)
- Maria ha comprato una rivista di Moda Italia.
(マリアはイタリアファッションの雑誌を買いました) - Io e Mario abbiamo guardato un film alla TV.
(私とマリオはテレビで映画を見ました) - Lucio ha dormito per otto ore.
(ルーチョは8時間寝ました) - Carla è andata dal fornaio.
(カルラはパン屋に行った) - Daniela è diventata una famosa giornalista.
(ダニエーラは有名なジャーナリストになった) - I miei amici sono stati a casa mia tutto il giorno.
(私の友達たちは一日中私の家にいました) - Mi sono lavato/a le mani prima di mangiare.
(私は食べる前に手を洗いました) - Angela e Luisa si sono incontrate dopo molti anni.
(アンジェラとルイーザは何年も後に合いました)
Esercizio(練習問題)2. 次の自動詞が、複合時制のときavereまたはessereどちらを取るのか答えなさい。(答えは下にあります)
- telefonare「電話する」
- usire「出る、出掛ける」
- lavorare「働く」
- dormire「寝る」
- giocare「遊ぶ」
- salire「上がる、昇る、乗る」
- cadere「ころぶ、落ちる」
- viaggiare「旅行する」
- riuscire「(...が)うまく出来る」
- nascere「生まれる」・morire「死ぬ」
Esercizio 2. の答え
1. avere
2. essere
3. avere
4. avere
5. avere
6. essere
7. essere
8. avere
9. essere
10. essere(過去分詞は不規則でnato, mortoに注意)