文化講座
第62回 親鸞伝承のある琵琶湖「沖島」を歩く

本土側の堀切港から見た「沖島」(右の奥につながった島)
今回のご紹介は、私が大好きで、撮影にもしばしば行っております琵琶湖になります。琵琶湖のほぼ中央、右に近江八幡市があり、信長の安土城跡があり有名ですが、その安土城の沖に位置する、比較的小さい島で「沖島」といいます。琵琶湖中央より少し下になります。
琵琶湖では北部の「竹生島」が有名ですが、今回の「沖島」については大半の方はご存知ない島だと思います。私が興味を持ちましたのは、親鸞上人(以下親鸞と略す)関連の伝承があるということから調べてまして、興味を持ちました。
親鸞が「建永・承元の法難」で、ほぼ無罪にもかかわらず、一時は死罪、後に死は免れて、越後流刑と決まり、その地に5年流されますが、そこに送られる折りに、大津から琵琶湖を船で沿岸沿いに海津に向かい北上しましたが、たまたま嵐に遭遇され、やむなく一夜を沖島の漁村で過ごしたという伝承が今に伝わります。その古い漁村のある沖島に行ってみたくなったという訳です。
どうして島に避難したかといいますと、おそらく当時の海上輸送などの折りに、嵐に遭遇した場合は沖島が、その地の利の良さから緊急時避難場所として最適であり、そうしたことから親鸞護送の折りにも嵐があったとしたら、それはあり得るとの考えもあり、後の親鸞の知名度、浄土真宗開祖の親鸞が、たとえ避難であったとしても、寄られたということになれば、島には名誉なことになるはずです。
一応親鸞は罪人として護送されておりますから、逃亡を危惧しての護送役人の配慮からだと考えられます。親鸞の流罪は冬から春先の季節でした。湖の水温は、通常3ヶ月前の水温を維持しますから、真冬の凍るような低温だったと思われますから、泳いでの逃亡はないと判断してのことだと思われますし、そもそも親鸞の「避難」が本当であったとしても、彼は「逃亡」を企てるような人物などではなかったでしょう。

連絡船
沖島は統計によりますと、日本で唯一の「淡水湖で人が住む島」だそうで、フェリーではなく、50名くらいまで乗れる連絡船があります。ですから島には車はなく、多くは運送に安定して便利な三輪自転車での移動が唯一のものらしいです。
また私が行きました時間帯は、残念ながら猫が昼寝していた時間らしく、一匹も見かけませんでした。実はたくさんいて、別名「猫島」と言われるようなのです。猫がお好きでしたら、ぜひ楽しんでください。
猫とのどかに暮らす静かで良い雰囲気の島で、民宿が二軒ありますから、私は一度琵琶湖特有の漁による魚料理(コアユ、ビワマス、シマエビ)をいただきに民宿に泊まって、春の桜や島ネコたちを撮影してみたいと思っています。

漁村の桜並木。春に期待します。
桜は港から並木道があり、春はきっと美しく咲くと思いますから来てみたいと思います。
島への往復には、連絡船が平均朝夕は一時間に1本(昼は2時間に1本)あり、本土とは約10数分離れた細長い島で、昔から琵琶湖漁業と石切(現在は廃業。跡はある。)で生計を立ててきた島のようです。桜の写真の撮影はよい桜並木があり、楽しみです。
親鸞が嵐で避難したかどうかは、正確な古資料が残らず、確認はできませんが「伝承」はあるようです。浄土真宗の中興の祖として名高い蓮如上人がこの島に寄って布教したことは史跡もあり、確実視されているようですから、江戸時代の浄土真宗発展期に蓮如上人と混同された可能性もあります。考えてみれば、親鸞がこの琵琶湖の沖を通ったのは、34歳の早春の時で、まだ無名の僧の時でしたから、各地で歓待されるようなこともなく、ただひたすら流罪先に向かったと考えられます。

島の少し高台にある奥津嶋神社
島にはまた、古い「奥津嶋神社」と島の中央の湖岸に、交通祈願の「嚴島神社」が守り神としてあり、連絡船からも見ることができます。
静かでのんびり暮らせそうな島で、郵便局が一ヵ所と浄土真宗の二寺があるだけです。幼稚園を含めた小学校があります。病院は船で近江八幡市に行かねばなりませんから、もしもの救急には少々不便かもしれません。商店街もコンビニも娯楽もありませんし、観光客相手の食堂が2店と簡易な軽食やお土産を売る店が一店あります。酒場は一軒あり、皆さんに人気らしいです。
しかしどこでも同じですが、若い方々は島から出て行き、後に故郷である島に戻るようです。
あたかも昭和レトロな生活を思い出させる漁の町と郵便局に頼る質素な生活ですが、私自身は、なにかノスタルジックで原点のような生活に戻ってみたいとも思います。

春には満開になる桜並木
●車以外の島へのアクセス方法(堀切港からは島へ連絡船あり)
JR近江八幡駅へ。駅からバス(長命寺経由・休暇村行き)またはタクシーで堀切港へ。
車の方は、堀切港から沖島行きの船(通船)に乗船(約10~15分)片道500円。
●注意: 堀切港には来島者用の駐車場がありません。港の中は島民用のスペースであるため、事前に確認が必要です。300メートル離れた手前に駐車場がありますから、一般の観光客はそちらに駐車します。

西福寺
島内の見どころとしては、
・奥津嶋神社: 奈良時代創建の古社。
・西福寺: 琵琶湖開拓の歴史を持つ寺院。
・沖島漁業会館: 休憩や島のお土産(海産物や「沖島コロッケ」など)が楽しめます。桜並木も美しそうです。
・細い路地: 昭和の面影を残す街並みを散策し、カフェ(喫茶いっぷくどうなど)で休憩するのも良いでしょう。
宿泊する方は事前に民宿に連絡の必要があります。(食事・民宿についてはインターネットに詳しく掲載されてますから、調べて予約された方が確実で良いと思います)
沖島には、日本の原風景ともいえる独特の文化と暮らしが残っているように思います。私は自分の好みに合う島で、訪れる価値のある場所だと思っていますから、また来たいです。

漁村らしい家の、静かな良いたたずまいの民家
●湖上の有人島「沖島」の観光情報について。
沖島は世界でも珍しい淡水湖上の有人島で、昭和レトロな雰囲気やスローライフの、ゆったりとした空気が流れているように思います。のんびりと島に沿った散策や、ノスタルジックな町中散歩を楽しみ、島の街並みを見渡せる奥津嶋神社や、道で猫たちと出会うなど、さまざまな楽しみがあります。私は春の桜の時期に、再度訪問したいと考えてます。

島の中の狭い路地を歩くのも楽しみです。
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