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旅・つれづれなるままに

細矢 隆男

第59回 岩湧寺の秋海棠(しゅうかいどう)


かわいい季節の花「秋海棠」が咲く岩湧寺境内。

 今回は私が好きな、かわいい夏の花「秋海棠」を撮影しに、大阪府河内長野市岩湧寺に来ました。

 この地域は以前、楠正成の活躍した千早城攻防を巡るお話を書きました。旅第45回※こちらをクリックしてください。


秋海棠の花 今年は暑さで、色が薄いようです。

 日本最古の寺院、法隆寺のある地域、斑鳩町にも近く、また無頼派の戦国時代の梟雄、松永弾正久秀の居城、信貴山城もあり、総合的な歴史探訪に最適な地域といえます。

 私は奈良市内に住んでますから、車で参りますが、途中葛城山山麓をドライブしますが、大変素晴らしい景色の場所で、早朝の葛城山山麓は独特の雲が湧き、大変写真撮影には魅力的な場所です。過去にも撮影に来ましたし、ケーブルで山頂の近くは料理の美味しい葛城山高原ロッジ(旧国民宿舎)もあり、宿泊したこともありました。


岩湧寺の本堂

 日本最古の修験道開祖の役行者については興味深く、こちらもいつかご紹介したいと考えています。

 半分伝説的な存在ではありますが、ほぼ現在では実在したとされる役小角(えんのおづぬ、通称:役行者)は、7~8世紀に葛城山を中心に活動した日本の呪術者でありますが、修験道の開祖として知られる人物です。山で修行する修験道とか神通力となりますと、どうしても超人的、空想的な力を持つ方向にいきそうです。葛城山での修行を通じて神通力を会得し、鬼神を使役して大峰山と葛城山との間に橋を架けるなどの伝説が残っています。文武天皇3年(699年)に伊豆大島へ流刑に処せられましたが、その後に許され、生涯を閉じたと伝えられています。 近いうちにまた詳しくお話できるといいです。


本堂正面

 さてその葛城山系に連なる岩湧山にあります今回の「岩湧山岩湧寺」も、実はその役行者こと役小角による文武天皇時代の創建とされる古刹です。車で訪れましても、かなり山深く、巨大な杉に囲まれた山寺で、少ない平地に本堂、十三重石塔、石仏、宝塔が建ち、右手下に僧坊があります。


宝塔

六地蔵菩薩

 江戸時代の俳人、松尾芭蕉もこの山奥で、秋海棠をうたっています。

 秋海棠 西瓜(すいか)のいろに
 咲きにけり 松尾芭蕉

 今年は猛暑で、私も例年とは違い、クーラーを入れっぱなしにしたほどの暑さでした。芭蕉は秋海棠の花の赤さを、西瓜(すいか)色と表現しましたが、今年は暑すぎたためか、例年と違い、西瓜色ではなく、かなり色は薄かったように思いました。

 樹齢千年くらいの杉がたくさんあり、見事な境内です。その大きな杉と対照的に可愛らしく咲くのが秋海棠です。この日も雨を予想して来ましたが、朝は雨でしたが、9時には晴れて来ました。朝早く、霧が出ますと、なかなか良い雰囲気になります。いろいろな風景の楽しめる岩湧寺です。


自然の平場にある「石庭」

 岩湧寺の所在地は〒586-0071 大阪府河内長野市加賀田3824 となります。駐車場は完備。

※こちらをクリックされますと、同じ著者による「掌の骨董」にアクセスできます。併せてお楽しみください。


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