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旅・つれづれなるままに

細矢 隆男

第30回 鮑のステーキ・英虞湾・志摩観光ホテル


鮑のステーキ

 今回は伊勢志摩に電車による日帰り気軽「旅」を楽しんでみました。まさに春爛漫というよい天気で、桜と美しい英虞湾を満喫出来ました。

 現在私は奈良・西大寺近くの秋篠町に住んでます。西大寺は奈良では京都にも約30分と近く、また大阪の中心地にもほぼ同じ時間で行け、とても便利です。


近鉄特急

 その西大寺から特急で25分、大和八木で更に特急に乗り換えまして賢島に向かいました。そこから鳥羽まで約90分、鳥羽から賢島までは約30分です。鳥羽には日本の誇る真珠の養殖に人生をかけた「真珠の神様」御木本幸吉さんで有名な「ミキモトパール・アイランド」があります。志摩の歴史は真珠養殖の歴史でもあります。


特急の運転席のパノラマビュー

 さて、すでに御存じのように2016年5月26日 - 2016年5月27日にかけて、世界が注目する第42回先進国首脳会議が伊勢志摩サミットとして地元の志摩観光ホテルで開催されました。風光明媚な英虞湾はこの世界の女性たち憧れの真珠の養殖のメッカとしてつとに有名ですし、近くの松阪も「松阪牛」ブランドとしてこれまた世界に誇る品質を保持し、和牛の代表的産地としても超有名です。


サミットの食事会場

 さらに志摩観光ホテルといえば、ホテルの創立以来、地元の海産物としての「伊勢海老」、さらに「鮑」料理が特に有名です。


伊勢海老のクリームスープ

 さて「旅」という概念をここで改めて考えてみましょう。人はなぜ「旅」をするのでしょうか。旅といえば前回も取り上げました俳人・松尾芭蕉も旅を棲みかとし、旅に明け暮れし、旅に死にたいと憧れたほどでした。それは旅が「非日常的世界」に、ドップリ浸かれるからだと思います。特に芭蕉は俳人ですから、非日常の世界である旅にはたくさんの新鮮な感動や美しさ、見所があり、俳句制作の原動力である感動につながったからでしょう。
 感動そのものをよんだ

「松島や ああ松島や 松島や」

とか

「あらたふと 青葉若葉の 日の光」

などは現地での作者の感動そのものが伝わります。


志摩観光ホテルから見る英虞湾の美しさ

普段は見ることの少ない美しい風景、気候、おいしい名産品、特産物に出会い、楽しめます。今回の志摩のように「東洋の神秘な宝飾品・真珠」の上質な美を楽しむこともできます。また旅の大きな楽しみは「食」です。普段は質素に生活し、「旅」に出たら思い切りおいしい物を食べ、「旅の恥はかき捨てる」という言葉があるように、住んでる地域では周りを気にしてできない体験も未知の地域なら勇気を出してできるということもあります。珍しい楽しみがありますが、なんといっても大きな楽しみは「食」の楽しみです。最高の和牛を楽しむ、普段は高価すぎる伊勢海老の味をたのしんだり、アワビのステーキのような独特な味と未知の食感を楽しむことができます。


志摩観光ホテル

 私はかねてから志摩観光ホテルの「鮑ステーキ」に着目してきました。なんと「贅沢な‼️」と思いました。これまでは好きな美術や歴史から探る「旅」に重きを置いて来ましたが、今回は趣向を変えまして、もう一つの楽しみである「食」にこだわってみたいと思います。

 人生は一度きりですから、できる時に意を決して趣味でも、旅でも、グルメでも、欲するところに従ってみるのも、悔いのない人生として、「非日常世界」に身を置いてみるのも良いのではないかと思います。

「コロナ禍」のような伝染病がいつまたあるかわからない時代です。最近はわたしも病院に通うようになると、血圧や糖尿やら、何かと食事を制約されることも多くなり、検査も胃カメラから大腸ポリープ検査などと、だんだん増えてきました。もちろんそうしたことは大切な体のことですから、健康のための食事制限は致し方ないとは思いますが、しかしたまにはストレス発散で「うわァ~これは旨いなあ」と感動できる食事を楽しみたいと思うのです。なんか体調が急に良くなるような、かえって諸検査やその結果を待つ陰鬱な気分は飛び去り、スカッと軽やかな、楽しい気持ちになります。

 糖尿病のアメリカ人が死ぬときによく言うらしいのですが 「ああ、バタートーストにイチゴジャムを山のようにたっぷりぬって食べたかった」というような「悔い」、これはいけません、私は医者が何と言おうと絶対に食べます。これは「生きている意味」の一つですから「悔いなき実行」です。

 人生の達人、良寛和尚は「死ぬときは死ぬがよい。ただそう簡単には死なないものじゃよ」といってますから、我慢はしない方がストレス解消になり、逆に病気が良くなるかもしれません。


良寛像(良寛自画像)

 私は頑張っていただきましたから、臨終の「ああ、志摩観光ホテルの鮑のステーキが食べてみたかった」はなくなりました(笑)。

 最近はインターネットのグルメ情報やらが全盛で、私もその情報の評価を頼りに食べにいくときもありますが、やらせ情報が多いため、かなり失敗が多いです。

 そこへゆきますと、世界のグルメである、美味を食べつくした世界のトップ政治家たちの集うサミット会場の食事であれば間違いがありません。まして参加された首脳たちから「絶賛」されたのですから、これ以上の「目安」はないでしょう。美味疑いなしです。

 そんな訳で、少し値は張りますが、「コロナ禍」でもあり、少々の贅沢は許されます。またインターネットで期待が外れるよりは、ずっとましです。世界を旅すれば、物価高騰でそれなりにお金はかかります。私は古美術品道楽にかなりのお金を使いましたが、それに比べれば、まだまだ「食道楽」は安いと思います。

今回はトップバッターとして、志摩観光ホテル・THE CLASSICの「伊勢海老のスープ」と「鮑のステーキ」をとりあげました。

 このホテルは風光明媚な英虞湾の高台に建ち、近鉄賢島駅前からもホテルの無料送迎バスがあり、便利です。建築・内装も昭和を代表する建築家・村野藤吾氏によるもので、海を見渡すTHE CLASSICにふさわしい、ぬくもりと安らぎに満ちた落ち着いた大人の雰囲気にあふれています。


ホテル内部

 もちろんこちらに宿泊されて、その洗練されたサービスを満喫されるもよし、ランチの一時、素晴らしい英虞湾とともに一時を楽しまれるのも大いによしです。私は日帰りランチで「伊勢海老のスープと鮑のステーキ」を楽しみました。(ランチ・19000円ほど)

「うわァ~これは旨いなぁ」と感動して、なんか財布も体調も急に軽くなり、天に昇る心地を体験できました。

鮑やき 未知の歯ざわり おもしろし

一句出来ました。


鮑のステーキ

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