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旅・つれづれなるままに

細矢 隆男

第3回 ドイツ・バンベルク大聖堂の騎士像


バンベルク騎士像

 思い出の騎士像です。私が小学生の4年生くらいの時に、父がドイツ人の知り合いからいただいた布張りの立派な写真集がありました。ひげ文字でしたから、戦前の本だと思います。もちろんドイツと分かったのも後のことで、その頃は同じ写真集のデューラー作の「騎士と死と悪魔」などを見たり、ベルリンやローテンブルクの中世の面影の残る街並みの写真を興味を持って見ていました。


デューラーの傑作、「騎士と死と悪魔」

 いま考えると古き善き時代のドイツでした。後にデューラーは好きな作家になったり、中世のプラハの街並みやその街に住んだ作家カフカを好きになったのも、こうした本に微かな中世の面影があったためとも考えられます。

 いまはコロナ感染が拡大しつつあり、みなさんも外国旅行には行けませんが、老後や会社退職後に世界一周の船旅や海外旅行を計画されていた方々には大変残念なことだと思います。

 そこで将来のご旅行の折りに、普通の観光地ではない、一味ちがう海外の旅をしていただきたいこともあり、これから将来に渡りご紹介する「旅」は少し私のこだわりのある場所をご紹介したいと思っています。

 そこで今回はドイツ中世の街の「バンベルク騎士像」をあげてみました。


バンベルク大聖堂内部

 もう8年前になりますか、なんとか時間をつくり35日間ヨーロッパを好きなように歩こうと、イギリス、フランスの南部、それからミュンヘン、特に旧東ドイツであったベルリンの街とその美術館を中心に歩いてみました。たまたま円高で、1ユーロが100円くらいでしたから、大変ありがたかったです。


ベルリンのデパ地下

ドイツ人の好きなプレッツェル

 ドイツのレストランは量が多く、食べきれませんから、昼は街の美味しいカレーブルスト(カレー味のソーセージ)を買って食べて、夜はデパ地下で好きなパン、ドイツ料理と缶ビールを買いホテルでゆっくりいただきました。歩き回ると疲れますから、このスタイルを通しました。


ベルリンのカレーブルスト店

 ドイツ人はソーセージが大好きで、ベルリンのカレーブルスト(カレー味のソーセージ)はおいしく、毎日食べても飽きませんでした。ちなみにバンベルクはラオホビールが地元のビールで、これもなかなか旨いです。

 その後、ベルリンからバンベルクに好きな列車で来ましたが、車窓から見る秋の黄葉が美しく、もう冬の気配が強くなってました。日本人でバンベルクを訪れる人は少なく、見かけることはありませんでした。地図をたよりに第一の目的地のバンベルク大聖堂(ドーム)に向かいました。教会はやや高い丘の上にある場合が多いですが、坂を上がりきり、階段を昇るとすぐ左にすごく大きな古い味のよい重そうな樫の扉が現れて、びっくりしました。そこがバンベルク大聖堂でした。時代を感じさせるすごく重い大きな扉を力を入れて開けて入りました。金具もそのままのようで、錆びてはいますが鉄味が良いです。入場料もなく、そのまま歩くと左に古い供養者というか教会の設立に関わった教会関係者の像が立ち並び、なかなか壮観でした。


大聖堂内部

 そこを過ぎると教会の大聖堂に入ります。古いロマネスク建築そのままに残り、あたかも中世の世界に入り込んだ錯覚を覚えました。ふと見上げると左角に、あの「騎士像」があり、いきなり上から現れたのでびっくりしました。若々しく、清々しい騎士像、子供の頃から憧れた騎士像にやっと55年ぶりにお目にかかることができました。ため息をつきながら見上げました。

 このバンベルク大聖堂は当時の神聖ローマ帝国国王ハインリッ匕2世が建築したとされています。ハインリッ匕2世は大聖堂建設の後に亡くなったと記録にあります。記録によれば彼は973年生まれで、1024年に亡くなっていますから、大聖堂は基本的にその在世中に建設され、しだいに整備されたようです。ちなみに騎士像は1200年代に制作され、取り付けられたようです。この像が見守る下の位置にハインリッ匕2世と后の素晴らしい彫刻の石棺があります。


リーメン・シュナイダー作のハインリッ匕2世と后の素晴らしい石棺

 亡くなった当時はそれなりの棺に納められ、後にドイツ最大の彫刻家、リーメン・シュナイダー(1460~1531)が制作したすばらしい彫りの石棺に夫婦で再度1513年に納められました。石棺の製作は記録に残り、1499年から1513年とされています。こうして長い時間をかけて、大聖堂が整えられていまの姿になったようです。そこには多くの信者、何人かの国王、寄進者、製作者の思いが重なっているのです。数々の戦争や争乱の中を生き抜いてきたこの大聖堂と彫刻に、これからもずっと生き抜いてほしいと願わずにはいられませんでした。


聖ミカエル修道院教会

 食事は近くの聖ミカエル修道院教会の食堂が素晴らしいです。この修道院の真裏にある食堂で、私は夕方になり、この食堂を見つけ、あまりにも寒いから暖かいスープとザアウアー・クラウトとウインナーシュニッツェルを注文しました。食べたらあまりにも美味しいから「これ美味しいですね」と話したら、ここの食堂は信者さんのための食堂ですから、最高の食材と最高の調味料を使い、手間かけて作っているから美味しいのです、と店の方から言われました。修道院の真裏で、ここしかないからすぐにわかります。

 何でも美味しいから、私は次回に行くことがあったら、毎日通おうと思っています。

 宿泊はレジデンス・シュロス・ホテルバンベルクに宿泊しました。部屋もすいていたので広い部屋に替えてくれ、とても快適で、朝食も美味しかったです。

※コロナとその規制にはお従いください。


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