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旅・つれづれなるままに

細矢 隆男

第25回 信州・安曇野「田淵行男記念館」とわさび田


田淵行男記念館

所在地 長野県安曇野市豊科南穂高5078-2
電話番号 0263-72-9964
定休日 月曜 祝日の場合は翌日休み
入館料 高校生以上310円
団体20名以上高校生以上の場合200円
中学生以下無料


田淵行男氏(1905~1989)-常念一ノ沢にて

わたしが信州・安曇野を訪れたのは大学1年生の冬でした。大学で知り合った友人の実家が安曇野・穂高町で、一緒に旅をして帰りに寄りました。初めての穂高町は空気がキリッと張りつめたように澄んで心地よく、東京に生まれ育ったわたしには水が最高に美味しい町だと思いました。


朝霧に包まれた安曇野の川

事実、安曇野は昔から良質な水で、澄んでないと出来ない「わさび」の名産地で、昔から続くわさび屋さんがあり、わたしも友人からおみやげに「わさび漬」をもらい、大変おいしく、わさび漬が好きな父も、これは新鮮で、ツンと鼻に抜けるわさび独特の辛みがすごく旨いと絶賛してました。以来このわさび漬屋さん※(最後に紹介します)とわたしは55年間の購入の歴史があります。


朝霧の大王わさび田

安曇野の澄んだ川の中の風

本原稿取材で今年2022年11月6日に写真家の堀勝彦さんと田淵行男記念館館長・中田信好さんと初期山岳写真家で昆虫生態研究家の田淵行男さんをめぐる対談があり、そちらに参加した折りにも購入しましたが、そのあと3日取材があり帰れないと話しましたら、味が落ちるから送りますとわたしが帰る次の日に作りたてのわさびを奈良に送っていただきました。


常念岳( 田淵行男記念館所蔵 )

田淵行男さんの記念館は安曇野のわさび田の中に建っていてなかなか安曇野の雰囲気に合った、とても落ち着いていて渋くて、しかもモダンな記念館です。


田淵行男記念館の内部展示品

記念館には田淵さんが使用したテントなどの登山用具から愛用のカメラそして撮影された素晴らしい写真がたくさん展示されており、是非皆さんに見て頂きたい内容です。また手描きの昆虫特に蝶の絵がたくさんあり、これがまた緻密で素晴らしいです。カラー写真の無い時代の初期昆虫図鑑に多く使われたようです。


常念岳( 田淵行男記念館所蔵 )

繊細な手描きの蝶たち

 田淵行男さんの経歴を書きますと長くなりますから、省略しますが、記念館のホームページやGoogleなどで読んでみてください。簡単に記しますが、田淵行男さんは現筑波大学理科第3部を卒業され、教職に就かれ、後に山岳写真や昆虫、特に蝶の研究を通して初期の昆虫図鑑などを執筆され、また日本の山岳写真家の草分的仕事をされました。私が田淵さんに親近感を覚えるのは、彼が教えたいくつかの学校の中に私の母校の獨協高校があることと、私も大自然の写真を愛し撮影して奈良県展に2年入選いただいておりまして、そんな写真好きな部分もあるからなのだと思います。今回の記念館所蔵のお写真以外は細矢が撮影しました。

田淵行男さんは特に穂高連峰の主峰である常念岳を非常に愛した写真家で、その写真を拝見しますと、存在感というか、そのどっしりした威容に魅力を感じ、私も撮影してみたくなるほど、身近な存在になります。それもきっと田淵さんの優しい人柄と大自然を観る眼の厳しさからくる品格のような魅力だと思います。

安曇野は学生時代から住んでみたいと思った町です。是非穂高町の素晴らしい自然と静かに佇む「田淵行男記念館」を訪れて彼の写真にふれてください。


常念岳( 田淵行男記念館所蔵 )

館内撮影と記念館所蔵写真掲載につきましては記念館の全面的なご協力をいただきました。心より感謝申し上げます。

※小笠原わさび店
長野県安曇野市穂高5976-3
電話0263-82-2414
開店午前9時~午後5時30分

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