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旅・つれづれなるままに

細矢 隆男

第24回 世界一狭い海峡


「世界一狭い海峡」、土渕(どふち)海峡

 こんにちは。
 私は昨年(令和3年)の3月に東京神田須田町から奈良秋篠町に転居いたしました。私は今年で創立30年となります「日本骨董学院」という古美術・骨董に関する知識を教える学校を経営しております。数々の美術品の本物と偽物をお見せしながらお話するため、教室には一クラス通常10名以内の方々に絞り勉強に来られていました。しかし、コロナ感染拡大を予防する意味から、近年休講しておりましたが、ウイルス感染は歴史的に長引くことが多いため、東京での講座は一旦休校とし、学院を以前からしばしば滞在、調査、研究に訪れておりました奈良に移転させ、どうしても今後の生活上のご要望の多い古美術商・骨董商養成プロ講座のみ、受講生がコロナ感染していないことを確認した上で個人講座にて実施しております。また18年間講座を開催していただいております名古屋の中日新聞社主催の栄カルチャー講座には月に一度講師として通わせてもらっています。


世界一狭い海峡

 それら講座の空いてます時間にこの連載の取材を兼ねて様々な場所を訪れることが奈良におりますと極めて都合が良いのです。本連載の趣旨といたしましては、すでに皆様には旅をされたり、有名過ぎる場所は避けまして、あまり皆様が知らないような場所や有名な場所でも、こんな所があったかと見逃しそうな場所を探訪し、お知らせしたいと考えております。


対向するフェリー

 今回は小豆島にフェリーで渡りまして、私自身もそれまで知らなかった「世界一狭い海峡」が小豆島にあることを知りまして、出かけてみることにしました。いうまでもなく「旅」は知識ではなく、体験ですから、まず出掛けることにいたしましょう。

 小豆島へ行くにはさまざまな方向からのアプローチがありますが、大半はフェリーとなります。私は写真撮影が好きですから、朝日や夕日の美しい海岸や岬に行きますので車は絶対の必需品となります。短い時間でも船旅は最高に気持ちよく、今回の小豆島の旅も楽しみです。

 よく利用されます新岡山港から小豆島土庄(とのしょう)港までのフェリーの所要時間は約70分です。その間、カメラを持ってデッキからカモメを撮影したり、過ぎ行く風景や対向するフェリー船を撮影するのも楽しいものです。


晩年の尾崎放哉

 私は小豆島といいますと俳人・尾崎放哉(1885~1926年)が晩年を過ごし、亡くなったことをまず頭に思い浮かべます。以前、本連載で取り上げまして、私も彼の俳句が好きなものですから、気分がのりましたから、意に反してかなり長い小論文になってしまいました。本来は放哉の墓参が目的でしたが自分の思いをこの機会に書かせていただくこととし、気の済むまで執筆させていただきました。ご興味のある方はこちらの※印をクリックしてお読みになって下さい。


「二十四の瞳」の教場

 さて小豆島といいますと一般的には壺井栄の「二十四の瞳」の小説とその数度にわたる映画化の中での舞台として有名です。また私は地蔵崎灯台から夕陽や朝日の撮影をいたしました。こちらは醤油の製造としても有名です。またそれらもご紹介できればと考えています。

 さて、今回ご紹介いたしますのは、大半の方々がご存じない「世界一狭い海峡」、土渕(どふち)海峡といいまして、全長約2.5キロメートル、最大幅は約400メートル、最狭幅は9.93メートルが世界一幅の狭い海峡として1996年ギネスブックに認定されています。


世界一狭い海峡への入り口

そもそも「海峡」の定義とはどうなっているのでしょうか!?ネット検索して調べましたら次のように出ていました。

「海峡(かいきょう)とは、陸地によって狭められている水域。日本語では「海」の一字が含まれるが、必ずしも海に限ったものではない(五大湖のヒューロン湖とミシガン湖を結ぶマキノー海峡など)。マキノー海峡のように湖にある場合は「湖峡」ということもある」とありました。

引用:「海峡」『フリー百科辞典 ウィキペデア日本語版』(2022.10.17)

日本には宗谷海峡、津軽海峡、明石海峡、鳴門海峡、関門海峡など国内にもたくさんの海峡がありますね。

今回の土渕海峡は、ただ見た目には川に橋がかかった状態に見えます。よく見ますと海峡の両岸がコンクリートの護岸で覆われているため、見た目には海峡というよりも河川のようです。水深は満潮時3.4メートル、干潮時1.5メートルと解説にありました。

引用:「土渕海峡」『フリー百科辞典 ウィキペデア日本語版』(2022.10.17)


永代橋から見た世界一狭い海峡

 それからせっかくいらしていただき、渡っていただくわけですから、海峡部の南側にある土庄町役場で横断証明書を下記有料ですが発行していますから、記念にいかがでしょうか。

 土庄町商工観光課では「世界一狭い海峡横断証明書」(100円、台紙付きは200円)も発行してくれます(平日 8:30~17:00/その他の時間帯につきましては土庄町役場宿直室で発行してくれます)。

 また海峡の最狭部分には香川県道26号土庄(とのしょう)福田線、永代橋(えいたいはし)が架けられています。

 土渕海峡という名称は、ギネスブックへ申請する際に海峡の名前が必要であったため、土庄町の「土」と対岸の渕崎地区の「渕」を取って命名されたそうです。それまでは、この海峡に名前は特についていませんでした。

 実は、一般的に海峡の中でも幅の狭いものを瀬戸といい、島の多い瀬戸内海にはその名のように内海の各地に「瀬戸」があります。広島県呉市にあります音戸の瀬戸は、幅は90mですが、世界一ではありません。ギネス認定「世界一狭い海峡」は、瀬戸とはいわずに堂々と「土渕海峡」と「海峡」を名乗っています。

 小豆島ではエンジェルロード(天使の散歩道)も有名ですから、島を訪ねたらぜひ「世界一狭い海峡」とともに見学してみてください。


世界一狭い海峡の真ん中から見た様子

※こちらをクリックしますと同じ著者によります「掌の骨董」にリンクできます。


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