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インターネット公開文化講座

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頤医の「かて食」&「かて茶」ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

幸せになる健康栄養食を食べるには―「自然食材から超加工食品まで」・・7

 地球の温暖化や環境変化、世界人口の増加で2050年には98億人となり、人間の食がどうなるかは重要な課題です。
 遺伝子編集や細胞融合技術などのバイオテクノロジーやAI、IoT、Big Data、3Dフードプリンタ技術を用いることによって人間の食生活は大きく変わろうとしています。
 最近、分子調理学を研究する石川伸一教授により「『食べること』の進化史 培養肉・昆虫食・3Dフードプリンタ」(光文社新書)が出版されましたので読むと勉強になります。
 植物由来の「人工肉」を取り上げます。
 従来、「モドキ」調理は動物食を嫌がる禅宗などの調理修行僧の「典座教訓」(道元禅師)にとって大切なことでした。
 現在、1kgの牛肉を生産するために7kgの穀物が必要と言われています。
 また、鶏肉では1kgの生産には2kgの穀物が必要とのことです。
 今後も牛肉のような生産に多量の穀物消費が可能かは問題です。

 アメリカのインポッシブル・フーズ(Impossible Foods)はハンガーガー店を展開するバーガーキング(Burger King)と協力しながら植物由来の人工肉のハンバーガーの販売を始めて全米に広げています。
 サンフランシスコでも食べることが出来るようになり多店舗展開をしているのです。
 ビヨンド・ミート(Beyond Meat)はナスダックに上場するカリフォルニアにある植物由来の人工肉を製造・開発している食品会社ですが、スーパー、レストランや食品店などと組んで人工肉のパテ、ミートボールや朝食サンドイッチなどの販売を始めています。

 我が国では植物由来ではないが、インテグリカルチャー汎用大規模細胞培養システムを開発してガチョウの肝臓細胞を培養し、フォアグラなどを作って2020年代前半に販売を目指しています。
 東大などの大学や企業などで人工培養肉の技術開発によって牛、ブタなどの家畜、サケ絶滅危惧の魚肉の培養「クリーンミート」と呼んでステーキ肉や宇宙食糧などの"造った肉"を普及させようとしています。
 こうしたフードテックの開発は今後どんどんと進んでいくでしょう。
 この7月にCNN Healthが100億人近くなる地球上の牛肉消費について次のような発表をしました。
 アメリカは40%、ヨーロッパは22%牛肉消費を減らす必要があるとのレポートをしました。
 この量をハンバーガーに換算する一週間に半分を減らすことになるようです。
 一人ひとりが今やSDGs、ESGを考えながら生活することが重要だということです。

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