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頤医の「かて食」&「かて茶」ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

幸せになる健康栄養食を食べるには-「自然食材から超加工食品まで」・・8

 気候変動、地球表面の地質的悪化や海、河川環境の悪化で人間が今までのような動植物食材を楽しめるかの危機を迎えています。
 そうした現状にあって自分自身の調節遺伝子のON-OFF状態(幸福寿命・Well-being Lifetime 第8回 2019年10月号 参照)、DNA編集、人工栽培、海の魚の陸上養殖、化学合成や技術による人工食品、代替肉の製造、細胞培養の肉、魚に加えて3Dプリンターによる調理食を実用化する研究や普及が促進されています。
 一方で食品ロス環境被害を如何に減らすかの取り組みもなされています。
 前回、植物性人工肉を用いたハンバーガーやパテなどの販売が全アメリカに広まっていることを取り上げました。
 最近、我が国にも展開されている「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」がアメリカ南部のジョージア州で植物性原料を用いた「フライドチキン」の試験的な販売を始めました。
 今後、人気があれば全アメリカのKFCの店に広がることになります。
 前回も取り上げましたが、ビヨンド・ミートが開発した"もどきのフライドチキン"です。
 牛、鳥などの動物を飼育するよりも必要なエネルギーや環境破壊は減らすために国連が求めるSDGs(持続可能な開発目標)に適った食材となります。

 日経新聞(2019年8月28日)は連載企画の「Disruption断絶の先に 第5部 食サプライズ(4)」で、「寿司シンギュラリティ」と名付けられた 3Dプリンターを用いて寿司を作る試作機を取り上げました。
 「細胞培養マグロ」を用いたマグロの食感を残した"寿司"が発表されて2020年には開店を目指しているとありました。
 食もデジタル化されているのです。
 分子調理や料理が発展していますが、食のデジタル化を促進するために料理の要素が分解されて研究されています。
 味、食感、香り、弾力などが数値データ化されてデータベースとなっています。
 食べたい料理を選択してダウンロードして、3Dプリンターとつなげて必要な材料を用意すれば料理が出来上がる時代が来ているのです。
 Faxや料理用レンジのように一家に一台3Dプリンターが普及する時代になりそうです。
 3Dプリンターで人体の組織がつくられるようにもなっています。
 人工肉などのように食としてのみならず3Dプリンターで「養殖臓器」や「培養臓器」の誕生も可能となりそうです。
 そうした時代の食文化はどうなるのでしょうか?

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