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インターネット公開文化講座

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頤医の「かて食」&「かて茶」ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

家庭料理は美食の健康栄養食

 毎日の家庭料理が美食であり健康栄養食とする食生活が何より大切です。
 その為には食材が手軽で容易に手に入ると同時に高値であっては続けられません。
 家庭料理は地域や季節の食材を楽しむのが良いのです。
 子供の頃から日常的に食べていたものは育ったり住んでいた地域を離れた時にはソールフードとなるでしょう。
 育った地域で親しまれている郷土料理は人それぞれの心に残って食べたくなるのです。
 そうした食べ物は多くの場合それぞれの地域で育ちやすい環境条件にあるのです。
 山野や田んぼの畔などに生えていたり、庭の周りに芽を出すような食べ物や海、河、小川などの海産物も含まれるのです。
 北大路魯山人が「赤貝と田芹の煮浸し」を昭和天皇の皇太后さまの親に当たる久邇宮邦彦王殿下ご夫妻を自邸でもてなしたと言われています。
 魯山人流の「当意即妙」の「創作料理」として知られています。
 誰でも家庭料理では臨機応変の創意工夫が必要なのです。
 当然のことながら宮様ご夫妻は日頃から美食をしておられますから滅多な料理では驚かれるはずがありませんが美味しさにびっくりされたのです。
 鎌倉に住む魯山人の家の周りにある田んぼの畔に生えていた田芹を摘んで赤貝の煮汁で煮て赤貝と合わせて山椒を振りかけて振る舞った一品なのです。
 つまりは四季折々の身の回りの食材に注目、注意することが大切だと教えています。
 宮様方にとっては忘れられない春の一品になったと言えます。
 誰にでもそのような心に残っている食材や料理はあることだと思います。
 焼いた一匹のメザシが驚くような美食になると、頤医には忘れられない経験があります。
 近年は、住んでいる近くにあった土地の食材を扱う八百屋さん、魚屋さんや肉屋さんなどはほとんどなくなりました。
 代わって地域性を離れたスーパーやコンビニのような世界中の食材が季節性や地域性を超えて年中売られている状況になっています。
 しかし、自分たちが住んでいる地域にみられる季節の変化や地域特性に意識を持って日常の食を楽しむことは健康や心の豊かさとして将来的にも大切なことなのです。
 注目すれば、まだまだ地域特性は残っています。

 地域性ある「家庭料理」こそを美食で健康栄養食とすることが重要なのです。
頤医の「かて食」&「かて茶」ワールド
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