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頤医の「かて食」&「かて茶」ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

幸せになる健康栄養食を食べるには―「自然食材から超加工食品まで」・・4

 鷲田清一のコラム「折々のことば」(朝日新聞・2019年4月30日)で農業史家・藤原辰史「食べることは、もっと政治の中心にあっていいはずなんです」を取り上げています(医師・徳永進との対談「言葉がほどけるとき」(「明日の友」春号)から)。
 「自然にひたすら負担をかける社会とその結果としての環境破壊、税収の再分配の歪な構造、そして貧困、残飯の問題。食べることはこれらの『最前線』にあり、『人間っぽさの終着点』でもあるのに、今そこが弱っていると農業史家は言う。だからそれは社会変革の切り口にもなる」と藤原辰史が言っていることの大切さを紹介しています。
 まったく同感で、大変重要な指摘です。
 マハトマ・ガンジーが「健康論」「仕事、食、運動」は等分に重要だと自ら断食も含めて自身の人体実験もしながら非暴力で大英帝国に勝利する歴史的な仕事をしたのです。

 今日の食が環境問題のみならず日常的な超加工食品の乱用、機能性表示食品が医薬品医療機器法に抵触するなど、食と健康で国家的な問題が発生しています。
 機能性表示食品は産業界からの強い要望で企業の自己責任で消費者庁に届け出るだけで「『歩行能力の改善など』と消費者が飛びつくような『保健の機能』を容易に」表示出来るようになったのです(2015年から)。
 消費者を保護する立場であるはずの消費者庁の食品表示企画課は「あくまでも届け出制度であり、受理は合法性を保証していない」と無責任なことを言っています。
 ところが、2018年11月になって、厚労省から消費者庁に「(例えば、味の素の「アミノエール」のように)『歩行能力の改善に役立つ機能が報告されています』と記されていることに、その表示が「医薬品医療機能法(薬事法)に抵触する恐れがある」と指摘したのです。
 指摘された消費者庁「歩行能力の改善」などと機能性表示をしていた10社以上に連絡したために広告を出していた企業のみならず多くが届け出の撤回や販売の停止を行ったのです。
 有効性や安全性などについて特定保健用食品など費用負担が重いために消費者が飛びつくような宣伝を容易にできる「機能性表示」を可能にした食品表示なのです。
 食品会社が健康維持や増進が期待できる食品だと安易に医薬品的な表示をして医薬品的効果があると勘違いする消費者販売促進をするための制度と言えます。
 消費者安易な国家と利益を求める食品企業との「お墨付き」食の健康があると思うのではなく、ガンジーや農業史家・藤原辰史が問題にする「食べること」の重要性にもっと耳を傾けることが重要です!!

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