文化講座
「かて食」は「グローカル食」で地球からの贈物だ!
「かてもの」とは200年以上前の上杉家藩主上杉鷹山が藩の庶民を含めたすべての人々を凶作、飢饉による飢餓から救うために刊行させた本だ。
庶民に優先して配布した手引書だ。
寛政12年(1800年)に米澤藩の重臣・莅戸善政や医師達に命じて藩内を調査して刊行した。
藩内の山野を探査して、ありとあらゆる食べられる植物や動物まで取り上げている。
山野の野草や根菜、果実のみならず野生の鳥、ウサギ、シカ、イノシシや昆虫などと食べ物となる動植物を調査したのだ。
殺生や肉食が問題となる時代だったにもかかわらずにだ。
そして、食べ方まで解説している。
上杉鷹山が藩主となった時は、藩の財政は窮乏し破綻していた。
農民たちに頑張ってもらい、お米は藩民には行き渡るまでの生産性は高められていた。
しかし、江戸時代の4大飢饉の一つ・天明の大飢饉(1782~1787年)では大勢の餓死者を出してしまった。
米の生産が不作だったためだ。
食糧として米依存が強かったことを反省して、飢饉であっても、野山にある食べ物となる物を調べて食べる方法まで工夫したのだ。
その効果が出て、東北地方が最も深刻だった天保の大飢饉(1833~1839年)では藩民からは一人も餓死者を出さなかったと言う。
以上より明らかなことは、食糧を米中心に限るとその不作によって大飢饉が起こると、大量の餓死者を出すと言うことだ。
そして、弱者が犠牲となる。
つまりは、地域地域の自然界に特性があり、生育する動植物を食文化として取り入れて多様な食生活をすることが重要だと言うことを教えている。
現在の食生活で多くの人々が忘れてしまった雑穀、根菜類、豆類、果実、野草のみならず野生の鳥獣も含めた自然からの贈物と言える食べ物を大切にする食文化を持つことだ。
そうした野山に育つ動植物が生きられるような地球環境を保つことを忘れてはならないと判る。
米、小麦、トウモロコシなどで世界的な不作が起った時の心構えとして多様な日常の食生活を身に付けていることが必要だ。