文化講座
幸せになる健康栄養食を食べるには―「自然食材から超加工食品まで」・・3
前回は普及し氾濫している超加工食品と私達の食生活の危険性を話題としました。
日本人の食の味覚は今や超加工食品を含む食べ物が主力の"コンビニや外食チェーン"が決めていると言えます。
日本人の繊細な味覚は世界一だと頤医は思っていますが、今後は超加工食品を多用した食生活でどうなるかが心配です。
日本は四季の変化がはっきりしており、その折々の自然からの恵みを楽しんできました。
八百万の神々との直食、行事食は自然の恵みに畏敬と感謝の気持ちの表れだと思います。
和食がユネスコ無形文化遺産として認められたのは「和食;日本人の伝統的な食文化―正月を例として-」に対してです。
私達の日常生活での伝統的な行事とそれにまつわる行事食文化に対してなのです。
農作業の仕事始めなどで山野の神に農作業の無事を祈る行事とお供えを直食する神人共食の伝統もあります。
伝統的な寿司、会席、懐石料理や出し汁などではなく、ましてやラーメンなどに対して与えられたのではないのです。
最後に「-正月を例として-」を追加することによって、やっと認められたと言うことを忘れてはなりません。
日本人が正月行事を例とするような自然や生活行事と結びついた伝統的な食文化があるからなのです。
正月の行事と食では1~7日はおせち料理、雑煮、お屠蘇など、その他の例を示します。
その前日の12月31日の大晦日には年越しそば、新年の7日は七草粥、11日は鏡開きでお汁粉、小正月の15日は小豆粥などです。
2月3日は福豆、3月3日はちらし寿司、ハマグリのお吸い物、3月18~24日は彼岸でぼた餅、5月5日は端午の節句で柏餅、粽。
11月15日の七五三には千歳飴。
私達が生活に取り入れてきた「日本の行事暦と食」が認められたのです。
ユネスコ無形文化遺産は和食が日常生活での自然や生活行事と結びついていることが世界的な評価を得たのだと判ります。
私達が七夕祭りや中秋の名月など自然との関係、子供や先祖と密接な年中行事、地域の祭りなどを祝って飲食を楽しみお互いに共存する喜びを大切にしてきた食文化なのです。
今や、日本人の多くが忘れかけている世界文化遺産となるほどの日本文化なのです。
こうした自然と行事と結びついて人々が食を囲む喜びは、今日、AI、IoT時代の人のつながりにとっては極めて重要なのです。
日本の食材や日本食店を世界に広げる経済活動とは区別して、伝統的な行事と結びついた食文化を世界に普及することが大切です。
日本人が忘れてしまうのは悲しいことです。