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インターネット公開文化講座

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頤医の「かて食」&「かて茶」ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

美食の健康栄養食-2

 2018年1月3日の新年に料理研究家の土井善晴がNHKBS3の番組でスペイン、バルセロナ地方で人口18万ほどの小さな市だが、美食で有名な街サン・セバスチャンを訪れていました。
 町ぐるみで地産地消の美食を進めています。
 生産者達はシェフ達が求める四季の地元食材の育成に努め、シェフ達はそうした食材を用いて料理を工夫しています。
 また、市民たちは美食倶楽部のような会員制のクラブを作って、男達だけが集まって自分達で料理を工夫しながら地域特性ある美食を楽しんでいるのです。
 そうした食材を用いる場合、食材の調理は無駄なく使う「廃棄物ゼロキッチン運動」に心がけています。
 前回取り上げましたように、我が国では鎌倉時代初期の曹洞宗開祖・道元が既に「余すことなく使う」と「典座教訓」に記しています。
 北大路魯山人も美食は家庭料理にあるとして、食材を無駄なく使うことを大切にしていました。
 サン・セバスチャンでも食べられるものはすべて使用するとして家庭料理を工夫しているのです。
 サン・セバスチャンの美食は国際的な料理ではなく地域の伝統を守り「家庭料理」の食材を発展させることを第一としています。
 シェフと農家、市民達はお互いに協働しあっているのです。
 有名なのは地域独特の魚、レンズ豆、野菜、アーティチョークやバスク豚などです。
 バスク豚は生ハムとしても知られていますが、そのバスク豚は春から秋にかけて放牧で育てられます。
 その放牧地ではドングリ、ヘーゼルナッツや栗の木が植えられていて、それが豚の主たる餌となって成長しているのです。
 生産者達は地域特性を大切にしており、ただ野菜を栽培したり、ブタを育てているだけではありません。
 土井善晴は生産者、料理人を訪れただけではなく、男達が料理する美食倶楽部一般家庭や市民が集うバルでの料理の現場に参加しました。
 地産地消を通して全ての人達が美食を大切に育て合い、食材を無駄なく使う食文化を説いていました。
 そうした美食の工夫は家庭料理が基本となって地域ぐるみで地産地消をしているのです。
 魯山人と同様に美食は四季の地域特性の食材を大切にした家庭料理にあることを忘れてはなりません。

 家庭料理が、美食が健康栄養食の必要条件となります。

頤医の「かて食」&「かて茶」ワールド
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