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頤医の「かて食」&「かて茶」ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

かて食&かて茶のグローカル食で「やわらかくつながる」-1

 「かてもの」は江戸後期の米澤藩主・上杉鷹山が飢饉が起こっても藩民から飢餓死者がでないようにするための手引書です。
 藩内の自然界を調査して食べられるものを「かてもの」として、その食材と食べ方をまとめたのです。
 「かて食&かて茶」はその心を引き継いでいます。
 「かて食&かて茶」は国の内外を問わず世界中の地域、地域に根付いたグローカル食との相互の知恵とつながりを大切にします。
 グローカルな食文化は、その土地の伝統的な自然からの贈物と言って良い食べ物を母親が手料理をして伝わったのです。
 しかし、近年はかつてのように母から娘に台所で料理をしながら伝授される生活スタイルは変わってしまいました。
 食文化もグローバル化した食材や調理された食べ物中心の生活となっています。
 「食べる」ことは貴賤を問わず、生きている限りすべての一人ひとりにとって必要にして欠くことが出来ません。
 徳川時代では「米」を中心とした食文化で、単なる食物としてのみならず、今日で言う報酬、税金の役割もしていました。
 しかし、自然、天候によって米の不作が起これば「飢饉」が起こり、弱者を中心に大量の餓死者を出したのです。
 江戸四大飢饉では長期にわたる異常気象が発生し全国的な規模で甚大な被害を起こし大量の餓死者が出ました。
 現代は、米、小麦やトウモロコシなどの主な食材は地球レベルで特定の地域で生産され輸出されて、生産していない国や地域に流通させています。
 地球レベルの環境問題が起これば、江戸時代と同様の飢饉や餓死者が世界規模で出たり、食をめぐる争い、戦争が起こりかねない状況となっています。
 食は単に生命維持だけを目的としているのではありません。
 「食べる」という行為は自然と人間との関係と直接関わっているのであり、どのように向き合うかが大切なのです。
 我が国ではお祭りなど、キリスト教ではクリスマスイブなど、イスラム教では断食と日没後のイフタールなどと呼ばれる共食は、人と人をつなぐ共食共飲であり、それぞれのグローカル地域での「食べる」ことを通じての人間関係の豊かさとなっているのです。

頤医の「かて食」&「かて茶」ワールド
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