文化講座
幸せになる健康栄養食を食べるには-エピジェネティック(遺伝子調節)茶の湯・Epigenetic Way of Tea・・9 日常茶飯のリアルand/orバーチャル茶の湯-7 IT革命とコロナ禍で変わる社会と茶の湯
コロナ禍によって三密(密閉・密集・密接)はダメが基本となり、自由に共食することが大変むずかしくなりました。
最近、『ともに食べるということ 共食に見る日本人の感性』(福田育弘著)が出版されましたが、フランスを代表とする西欧文化との比較がなされています。
また、日本の伝統食文化を専門とする研究者の原田信男による『「共食」の社会史』などが既に出版されています。
私にとっての共食は日常の家族とのチャブ台が中心ですが、必ず"いただきます!"と手を合わせてから食べ始めるのが常でした。
原田信男が述べる卑弥呼以来の直会と感謝の伝統的な共食が続いていると思います。
最近は北大路魯山人、永井荷風や谷崎潤一郎的な美食に加えて、「アンパンマン」「孤独のグルメ」や「ロストグルメ」なども私にとってはコロナ禍と共食を考える上で重要だと思っています。
「アンパンマン」は自分の身を削って相手の空腹を助けたり、ばいきんまんのような敵の大切さまでを子供たちに教えています。
「孤独のグルメ」はコロナ禍によって増加した孤食や個食でも美味しい食を味わい、楽しめる可能性を示しています。
「ロストグルメ」では現在は味わえなくなった食と現代を考えさせられます。
分子レベルの飲食(『料理と科学のおいしい出会い 分子調理が食の常識を変える』石川伸一著)や老化・寿命(『開かれたパンドラの箱 老化・寿命研究の最前線』今井眞一郎著)と食が重要になりました。
人間と食、幸福寿命や老化が分子レベルで如何に重要かが解明されようとしています。
我が国にとってアンパンマンのような米沢藩9代藩主・上杉鷹山が米沢藩の飢饉対策として藩内で食べられる食材を調査、刊行させた救荒書(『かてもの』)は今でも役立ちます。
日本的で芸術的な食の代表と言えるスシは吉野曻雄による『鮓・鮨・すし すしの事典』がスシ発展史の勉強になります。
アンパンマンや北大路魯山人は食の意味する大切さを教えていると思っています。
魯山人はご飯炊き、季節の野草採集と調理、食器や食べる環境に心を配っています(『魯山人著作集 第三巻料理論集』平野雅章編)。
私にとってはコロナ禍の日常にあってもワイフが毎日の薄茶を飲むにあたって作るお菓子「ごまあん焼きもち」とカリフォルニアのソウルデザートやおやつである「パンプキンパイ」を食べるのが最高の茶菓です。
「ごまあん焼きもち」は高山から取り寄せる吉川餅店の杵つき餅にこだわり、餡はこしあんを黒練りごまとあわせて杵つき餅に入れて焼くと最高の主菓子になります。
そして、銘が「未完」や「ほっこり」(加藤敬也作)の茶碗で茶を飲むのです。
「パンプキンパイ」は私のカリフォルニアママのレシピにより私も手伝ってカボチャから焼いて、自家製のアイスクリームと共に食べるのが日常の最高のおやつです。
お客や友とも、ごまあん焼きもち、パンプキンパイとアイスクリームをともに楽しむのがWellbeingな共飲共食です。
私のEpigenetic 茶の湯は主客直心の自由で心豊かな会話と自家製のこの一品の「もてなし」での共飲共食が最高です。
VR(仮想現実)の茶の湯で同様の茶の湯が楽しめるかが私にとっては課題です。