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家計のサポート相談員のコラム

株式会社 マネースマート

どう変わる?年金制度

5月に成立した「年金制度改正法」。見直しポイントは、将来の年金の安定を図るため、①働き方の多様化・高齢者の就業拡大にあわせた公的年金の見直しと②個人の自助努力を支援するための私的年金の拡充です。法律の多くは2022年に施行されますが主な変更点を見ておきましょう。

年金制度改正法の主な内容(★公的年金/☆私的年金)
2022年4月

★受給開始年齢の選択肢を60~75歳に拡大
★65歳未満の在職老齢年金の減額基準を47万円に緩和
☆iDeCo・企業型DCの受給開始年齢の選択肢を60~75歳に拡大

2022年5月

☆iDeCoの加入上限を65歳未満の国民年金被保険者に
☆企業型DCの加入上限は70歳未満に

2022年10月

★「101人以上」の企業で働く短時間労働者も、厚生年金を適用
☆企業型DC導入企業でもiDeCo併用が容易に

2024年10月

★「51人以上」の企業で働く短時間労働者も、厚生年金を適用

1 厚生年金の適用範囲が拡大

パートなどの短時間労働者の多くは、会社員が加入する厚生年金に未加入であるため、将来受取る年金が少なくなるという懸念がありました。そこで加入義務がある企業の従業員規模「501人以上」を、2段階で緩和します。2022年10月「101人以上」に、2024年10月「51人以上」にした場合、新たに65万人に厚生年金の適用が拡大する見込みです。

2 在職老齢年金の見直し

「在職老齢年金」は、60歳以降も働き一定収入がある高齢者の年金を減額する仕組みです。働く意欲がある高齢者の足かせになるとの指摘がありました。そこで、60~64歳の年金が減らされる収入基準額を月額28万円から47万円に引き上げます(なお65歳以上の人については、今の月額47万円で据え置かれました)。

3 年金の受給開始年齢の選択肢を拡大

年金の支給開始年齢は原則65歳からとなっていますが、希望すれば60~70歳までの間で自由に受給開始年齢を選ぶことができます。その選択肢の幅を60~75歳に拡大します。なお繰下げ増額率は1月あたりプラス0.7%ですから、75歳からの受給開始を選択すると65歳からの場合と比べ年金額は84%プラスとなります。

4 ますます「iDeCo」が活用しやすくなります

公的年金に上乗せする確定拠出年金が拡充されます。確定拠出年金は、会社や個人が拠出した掛け金を自分で運用し、将来その運用結果を年金原資として受取ることができる私的年金です。会社が原則掛け金を出すのが企業型DC、個人で掛け金を出すのが個人型(=iDeCo)です。

iDeCoでは、加入期間の上限が65歳未満まで延長され、将来の年金の受取り開始年齢の選択肢が60~75歳まで広がります。さらに企業型DCに加入している会社員も希望すれば、労使の合意(規約変更)がなくても、iDeCoを併用して利用できるようになります。
iDeCoは、掛け金や運用益などの税メリットが手厚く、老後資金を効率的に貯めやすい仕組みですから、活用する方がふえそうです。

どのような働き方をしていつまで働くのか、将来どのように年金を受け取るのか、そして上乗せする私的年金をどのように活用するのか、それぞれの選択によって将来の年金の厚みは影響を受けます。老後の年金は「自分でつくる」という意識をもつことが、これからは重要になりそうです。

※詳しい情報は、
厚生労働省HP『年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました』で確認できます。

堀之内 千津
ファイナンシャルプランナー(CFP®)
株式会社家計の総合相談センター

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