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家計のサポート相談員のコラム

株式会社 マネースマート

企業型DC~中途退職時の手続きを忘れずに~

 60歳より前にお勤め先を中途退職された場合、勤務先で加入していた確定拠出年金(企業型DC)の資産は、6か月以内に個人型DC(iDeCo)などの別の確定拠出年金へ移し替える必要があります。年金資産を移して持ち運びできるしくみのことを「ポータビリティ」といい、年金資産を移す手続きを「移換手続き」といいます。

 転職先にDC制度があれば、転職先の企業型DCへ移換することができます。また、確定給付企業年金(DB)に移換ができる場合やiDeCoへの加入を認めていることもありますので、担当部署に確認してみましょう。転職先に企業型DCがない場合や自営業者、公務員、専業主婦などになる場合は、iDeCoへ移換します。掛金を拠出しながら運用する「加入者」のほか、掛金を拠出せずに運用のみ継続する「運用指図者」になることもできます。iDeCoは銀行や証券会社など多くの金融機関で取り扱いがあり、申し込む金融機関はご自身で選択することになりますが、金融機関によって手数料や商品ラインナップが異なります。じっくり比較検討してみましょう。
 なお、勤続年数が3年未満の退職者の場合、掛金を勤務先に返還(事業主返還)するよう定められている場合があります。それによりDCの資産がゼロになることもありますが、移換手続きにより加入期間の引き継ぎが可能です。また、資産額が少額の場合など要件を満たした場合に限り、脱退一時金を受け取ることができます。事前に確認しておきましょう。
 これまで保有していた商品は、移換手続中に売却・現金化され、移換先の運用商品が購入されます。売却のタイミングを指定することはできないので、価格変動を避けたい場合は定期預金など元本確保型の商品に預け替えをしておきましょう。

 所定の期限までに移換手続きが完了しなかった場合、DCの資産は国民年金基金連合会に自動的に移換され、以下のようなデメリットが生じます。

①年金資産が運用されない
運用ができず、積み立てることもできないため資産を増やせません。

②手数料が発生する
自動移換時:4,348円、自動移換完了4か月目以降:月52円、再移換時:1,100円

③受給開始が遅れる可能性がある
通算加入期間に算入されないため、通算加入者等期間が10年に満たないと受給開始年齢が60歳より遅くなります。

 手続きをせず自動移換となる人は年々増えており、令和2年12月時点で約97万人*にのぼります。
自動移換者を減少させる取り組みとして、新たに確定拠出年金の口座が開設され、基礎年金番号や生年月日などの本人情報が一致すれば、本人の口座へ自動的に移換される場合もありますが、確実に年金資産の移換が完了するよう、ご自身での移換手続きを忘れないようにしましょう。

*国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(令和2年12月時点)」

森 朱美
ファイナンシャルプランナー(CFP®)
株式会社家計の総合相談センター

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