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家計のサポート相談員のコラム

株式会社 マネースマート

確定拠出年金(iDeCo 企業型DC)の運用を見直そう②~リバランス

 確定拠出年金の運用状況の確認は、残高や何%で運用できているかだけではなく、資産残高の中で株や債券などの各資産の割合がどうなっているかも確認しましょう。当初に決めた割合から大きく変化している場合は元の割合に戻す見直しが必要です。このような見直しを「リバランス」といいます。なお、バランス型の投資信託で運用している場合は、このリバランスは運用会社が行っているため自分で行う必要はありません。

1.リバランスの意味と効果
 確定拠出年金の運用商品として採用されている投資信託は、国内外の株や債券などで運用されており、相場の変動によって資産残高が増えたり減ったりします。例えば、毎月2万円の掛金を株で運用する商品Xと債券で運用する商品Yに1万円(50%)ずつ積み立てた場合、5年後には商品Xと商品Yにそれぞれ60万円で計120万円積み立てることになります。その後、商品Xの価格が急上昇して2倍になり、商品Yの価格は変わらないとすると、以下のように、商品Xの残高が120万円、商品Yの残高は60万円のままで合計180万円となります。

 上記のB時点では、株で運用する商品Xの残高120万円は、資産残高全体180万円のうち3分の2となっており、当初に決めた50%より割合が増えています。基本的に債券で運用する商品よりも株で運用している商品の方がハイリスクハイリターンのため、A時点よりB時点の方がハイリスクハイリターンの状態です。このままだとB時点以降に株価が急落すると想定以上の損失となってしまいます。そのため、価格が上昇した商品Xの残高の一部を解約し、そのお金で商品Yを購入することでXとYの割合を50%ずつに戻します。こうすることで当初決めた方針での運用を継続することができます。

 上記の例のように、一方の資産が急上昇した場合のみでなく、一方の資産が大きく下落して割合が崩れた場合にも行います。このような見直しをすることで、当初に想定したリスクとリターンで運用を継続できることになります。また、価格が上昇した資産を売却したり価格が下落した資産を買うことは、結果的に安く買って高く売ることに繋がることになります。毎日のように運用状況をチェックする必要はありませんが、1年に1回程度、あらかじめ決めた日に運用状況をチェックし、当初決めた資産配分から大きく変化していた場合は、リバランスを行うとよいでしょう。

2.具体的な手続き方法
 リバランスを行うための「商品Xを一部売却し、そのお金で商品Yを買う」という手続きはスイッチング(運用商品の預替)で行うことができます。上記1の例で具体的に考えてみましょう。この例では最終的に180万円の資産残高のうち、商品Xに90万円、商品Yに90万円という状態にすることになります。その場合のおおまかな流れは以下の通りです。

①売る商品の指定 ⇒
商品Xを売る
②売る割合の指定 ⇒
商品Xには90万円残し、30万円売却したい。
つまり30万円÷120万円×100=25%を売却する。
③買う商品の指定 ⇒
②で売却した金額(30万円)100%で商品Yを買う。

実際のスイッチングの手順や詳細についての不明点は運営管理機関のコールセンター等で確認しましょう。

石川 友紀
ファイナンシャルプランナー(CFP®)
株式会社家計の総合相談センター

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