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家計のサポート相談員のコラム

株式会社 マネースマート

公的年金の金額は増えた?減った?

 4月から新しい年度に変わり、様々な制度が変わるタイミングでもあります。公的年金(厚生年金、国民年金)の金額も毎年一定ではなく、変わっていくことはご存じですか?実は物価や賃金の動きによって調整されるため、毎年一定ではないのです。簡単に言えば物価や賃金が上がると年金額も増え、物価が下がると年金額も減るということです。
 例えば老齢基礎年金(国民年金からもらえる老後の年金)は加入した期間によって受け取る年金額が決まる仕組みですが、平成26年度は40年加入した方がもらえる金額(満額)が77万2800円/年でした。これが平成27年度からは同じ40年加入した方で780,100円/年となります。つまり物価や賃金が上がったので年金額も増えたということなのですが、「年金額が増えてうれしい!」と喜んでばかりはいられません。実は今年度は年金額が実質的には増えたのではなく減っているのです。
 公的年金は現役世代の方が払う保険料でその時の高齢者の年金を賄うという仕組みですが、少子高齢化が進む中このままでは年金財政が厳しいことは以前から確認されていました。そのため、現役世代の方の負担が大きくなり過ぎないよう、今後は「物価や賃金が上がっても同じだけ年金額は上げません」という仕組みを設けたのです。
 本来、平成27年度の年金額は前年からの物価などの上昇に合わせて2.3%上がるはずでした。ただ、現役世代の減少や平均余命の伸びを考慮すると0.9%調整する必要があり、その分年金の伸び率が調整されました。さらに以前物価が下がっていた際に年金額を下げない特例措置をとったために現在もらっている年金が多すぎるということを調整するための措置で0.5%の引き下げも合わせて行われました。つまり今年の年金額の上昇は「2.3%-0.9%-0.5%=0.9%」に抑えられたということなのです。

 つまり、物価などが2.3%上がっても年金額は0.9%しか上がっていないため、見た目の金額は増えていても同じ水準の生活をしていくには年金額が「少ない・足りない」ということになりますね。このように年金額は見た目の金額ではなく、物価などの上昇を考慮した実質的な価値がどうなっているかを考えておくことが重要です。
 以前行われた特例措置で「もらいすぎている年金」を解消するための措置は今回で終了ですが、現役世代の減少や平均余命の伸びを考慮する調整(マクロ経済スライド)は今後も続きます。(ちなみに2025年まではこの調整率は0.9%程度と見込まれています)
 このように今後は年金額の実質的な価値が減ってしまうことも考慮する必要があります。これから将来の資金設計を考えていく際はよりしっかりとご自身で老後資金の準備を進めていくことが重要です。

石川 友紀
ファイナンシャルプランナー(CFP®
株式会社家計の総合相談センター

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