文化講座
天命起臥之道と「星の王子さま」
「星の王子さま」はサン=テグジュペリ作(1943年出版)であり、世界中で子供のみならず大人も勉強になる代表的な作品です。
サン=テグジュペリはアメリカで作品を書き終った一週間後ぐらいに「人にはやらねばならぬことがある」と地中海で偵察機に乗ってドイツ軍を偵察する任務につきました。
アメリカでは飛行機に乗るのは無理な身体だと止められていたにもかかわらず、密かに出国したのです。
「星の王子さま」には、私には心にとどめる四ヶ所のシーンがあります。
私はそのシーンのミニチュアを持っています。
第1はウワバミがゾウを飲み込む場面。
ウワバミがゾウを飲み込む前はそれぞれの動物の区別は簡単ですが、ウワバミがゾウを飲み込むとその外見からはゾウを飲み込んだ形だとは簡単には判りません。
外見からは、その中身はよくわからないということだと思います。
第2は王子さまが狐と会うシーン。
王子さまは狐と友達になりたいのですが、狐は友達になるにはお互いに良く知り合うことの大切さを説きます。
最も大切に思うのが、狐が王子さまに「大切なことは目に見えない」と教えたことです。
第3は、王子さまが一輪のバラの大切さに気付いたシーン。
王子さまが小さな星から逃げ出した理由は我儘な一輪のバラに困ったからです。
一輪のバラのあまりの無理や我儘に手を焼いたから逃げ出したのです。
しかし、地球で王子さまが、沢山のきれいなバラが咲いているのを見つけたとき、大切なことに気付きました。
如何に沢山のきれいなバラが咲き乱れていても、王子さまにとっては、一輪の面倒なバラであっても、その一輪のバラが素晴らしいと気づいたのです。
一輪のバラのために、王子さまは小さな星に戻りたくなりました。
一輪のバラは、仲が良かったとは言えない奥さんをイメージしているのだと思います。
地中海に散ったサン=テグジュベリの最近発見された死体の指には奥さんとの結婚指輪をしていたことがわかりました。
また、「星の王子さま」を出版したのは奥さんです。
第4は、ヘビが王子さまを咬むと肉体は地球に残るが、魂は逃げ出して来た小さな星に戻ることが出来るというシーン。
王子さまは魂が一輪のバラが咲く星に戻りたいとヘビに咬まれて舞い上がりました。
サン=テグジュベリが飛行機乗りの仲間たちが戦争で犠牲となった魂に会うために、無理をして偵察機に乗り、魂となって会いに昇天したのだと思えてなりません。