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インターネット公開文化講座

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「天命起臥之道」に生きる

Dr.BEAUT・ソフィーリッチ代表
医学博士 山中 直樹

「新考える葦・New‐Thinking Reed」となろう-29 デジタル民主主義&公益社会―3 フェイク&オルターナティブ ファクト

 ITを用いたデジタル民主主義&公益社会はデジタル技術を用いてすべての人が自分の思い、考えや意思を反映できるような民主主義社会を築こうとするものです。
 公益社会日本が誇る経済学者・宇沢弘文が提言した公益・共益主義の発展です。
 デジタル民主主義にとって、最も危険なことは「もう一つの事実」を意味する「オルターナティブ・alternative」、あるいは「偽の、みせかけの」を意味する「フェイク・fake」な事実をまことしやかに流して人びとをあやまった方向に導くことです。
 最近はアメリカ前大統領トランプが自分に都合の良い根拠のない情報を流していたことで、一段と注目を集めました。
 しかし、前アメリカ政権の副大統領、補佐官達、国防長官や司法長官(州長官を含む)も憲法に違反することは大統領の命令といえども従わないことが明らかになりました。
 その意味でアメリカ民主主義は憲法を基準にした民主主義であると判ります。
 また、「言論の自由」も憲法で認められているためにフェイクな事実もFacebookやTwitterでの発信が許されて来ました。
 トランプによる明らかなフェイク・オルターナティブ情報発信は警告を受けたり、削除されたり、投稿まで許されなくなりました。
 公益社会にとって「意図的なフェイク」「もう一つの事実」を恣意的に社会の誘導を目的として発信する「言論の自由」を憲法が保障しているかが問題なのです。
 今日の中国やロシアのような独裁的な全体主義国家の権力者たちが意図的、恣意的な「もうひとつの事実」を公然と発していることは少なくありません。
 例えば、中国は武漢での新型コロナウイルスのCOVID-19の発見でもSNSで不都合な発信をした医師や武漢市役所の原因不明肺炎の発生の公表に権力が介入して処罰しています。
 2003年でも同様に中国南部の広東省で発症した新型コロナウイルスのSARS(重症急性呼吸器症候群)の場合はベトナムにいたWHOの献身的な医師が中国の抵抗にもかかわらず努力してパンデミックを防ぎました。
 医師自身もSARS感染で亡くなりました。
 今回のCOVID-19では自らもCOVID-19で亡くなったが2019年12月30日に発信した中国の李医師でしたが「デマを流した」と処分をされました。
 後手にまわった為にパンデミックにしてしまった可能性があると思います。
 2019年12月に第一例目の感染者が報告されていたにもかかわらず、あれこれ理由を付けて2021年1月になってやっとWHOの調査団の中国入国を受け入れたのです。
 中国は人権や人命より国家や権力者のご都合優先だったと判ります。
 COVID-19の変異ウイルスの感染性が高い英国型に続いて感染力は強く現在のワクチンが効かない可能性がある南アフリカ型が急速に広まっています。

 日本でも政治家、役人や関連する人たちが憲法を自分達に都合の良い解釈をして「もう一つの事実」を流布する危険があります。
 我が国の民主主義体制は憲法や人権より同調圧力を優先して、一人ひとりが自律的に考えて意思表示をしない傾向があります。
 日常的に憲法や人権を意識する公益をキーとした民主主義社会としなければ再び全体主義的国家になる体質があります。
 デジタル民主主義&公益社会を築いて自由で人権を尊重する民主主義社会を築くことが極めて重要なIT革新の時代です。

「天命起臥之道」に生きる
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